蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

山行記 伯耆大山 雪中行 ② 剣ヶ峰

『今、行かなければ、チャンスは一生来ない。』

f:id:ikazuti-d:20190226095650j:plain

風は無い。

視界も良好。

雪は薄いがしっかりと固まっている。

今だ。

行ける確信があった。

f:id:ikazuti-d:20190226100012j:plain

弥山三角点を越えた先にある道を進む。

尾根についたトレースを踏み、アイゼンの効き具合と雪の感触、ピッケルの手ごたえを頼りに前を向いて進む。

後退もありだ、だが今ではない。

f:id:ikazuti-d:20190226101223j:plain

南壁は太陽に照らされて水蒸気が舞い、奥が見えない。

雪解けは早いようで、岩壁が露出しているところが多く見かけた。

f:id:ikazuti-d:20190226102236j:plain

両端は500mは切り立っているだろう。

不思議と恐ろしさは無かった。

恐怖心よりも探究心の方が勝っていた。

f:id:ikazuti-d:20190226102311j:plain

f:id:ikazuti-d:20190226102150j:plain

いくつものピークを越え、さらにその先へと進む。

解っていた。その頂にたどり着いたとしても何もないというのは。

ただただ、このチャンスを見逃したくなかった。

驕りではなく、行ける確信があった。

 

一歩一歩を踏みしめて、ゆっくりゆっくり前へ前へ。

f:id:ikazuti-d:20190226102303j:plain


2019年2月26日伯耆大山剣ヶ峰頂上

f:id:ikazuti-d:20190226105104j:plain

剣ヶ峰にある台座は雪に埋もれていた。

辺りを見渡してこのピークよりも高い場所が見当たらない。

雪に覆われた山塊と、青い空、ゆるやかに流れる雲。

山頂標識も、看板も、ほかの登山客もいない。

大自然の頂。

自然!LOVE&PEACE!なんて言っているが、所詮人間の戯言。

ここにはそんなものは一つも無かった。

何も、無い。

 

ここが、中国地方最高点・剣ヶ峰なのだ。

 

f:id:ikazuti-d:20190226103457j:plain

左端に大山山頂石碑が見えた。あの奥に見える尾根が今日通ってきた道の一部だろうか。

 

f:id:ikazuti-d:20190226102637j:plain

蒼天の下、今日ここまで来た証に山頂にピッケルを打ち立てた。