久しぶりに雨が降ったな。
風も台風みたいに強かった。
一旦仕事も終わって明日からゴールデンウィーク。
色々な事情があって久しぶりに長い休みになる。
アウトドアをやるには丁度良い気候なのでキャンプでもしたいところだ。
想うところ。
3年前にキャンプ場で行方不明になった女児の痕跡と想われるものが最近になって見つかったそうだ。報道ではキャンプ場から600mほど離れた場所だという。
600mの『距離』なら迷って移動してしまうと想うし、山の麓に広がる森の中の600mの『範囲』は恐ろしく広大だ。
当時散々捜索して見つからなかったのが今更見つかるのは不可解に想えるが、森や川などより野晒しの自然環境においては人知を越えることがあっても不思議ではない。
子供が急峻な沢や山を登って移動出来るわけがないと思われがちだが、子供の体格だと降りよりも登りの方が体が安定するから意外と登ってしまうのだ。
一年たっても見つからないと報道がされていたころに、息子の通う保育園でも、キャンプ中に川に流され死亡事故に至る出来事が身近に発生したので、共に印象深く、忘れがたい事件だった。
この頃はアウトドアブームが過熱していて、驚くほどキャンプ人口が増えはじめた頃だったと記憶している。子を持つ職場の上司や同僚もキャンプに嵌って頻繁に行っていて、事故の事も話題になった。
何故、出かけて行った方向とは真逆で、600mも離れたところに遺留品があったのか。
何故、周辺は頭がい骨と想われるものと、靴しか見つからないのか。
何故、当時見つけることが出来なかったのか。
本質はそうでないと想うのだ。
被害者の事を配慮してか結果系でしか語られず、事態に至るまでの経緯がはっきりしない事が多い。
何故、子供を見失う事態に至ったのか。
経緯を分析して予防線を張ることを、この過熱気味なアウトドアブームの中で考えていく必要があるように想える。
大自然の中でのびのびと子供を遊ばせたい気持ちは分からなくもないが、『アウトドアゆえの危険性』に対する感受性が大人・子供関係なく乏しいままなのかもしれない。
それでも、事態が起きてからでは遅いのだ。
誹謗中傷・批判するつもりは一切ない。
一つの例として素人なりだがアウトドア経験者として少し考えてみた。
ウィキベディアより引用。
『2019年9月21日、道志村の「椿荘オートキャンプ場」に子育てサークルで知り合った7家族27人が遊びに来た。昼12時15分ごろキャンプ場に到着。15時35分ごろに9人が約150メートル離れた沢に遊びに行き、女児(以下、A)は同40分ごろに1人で後を追った。その10分後に大人が迎えに行ったが、16時ごろにAがいないことが判明した。』
事件があった椿荘オートキャンプ場は山梨県の山奥にあるキャンプ場で周囲は1000M級の山々に囲まれている場所。そこに1世帯平均3~4名の核家族が一挙に集合している。
夫婦2人が子供を連れて参加したとしたら大人14名、子供13名。
子育てサークルとのことなので、引率する子供は小学生ばかりだろうか。
7家族分のテントを広げればかなりの大所帯になる。
キャンプ場の雰囲気から林間にテントを張るキャンプだ。
一堂に会していることから親睦会も兼ねているのだろう。知り合い同士という事もあって大人・子供問わず大人数で盛り上がっていたのは想像に容易い。
落とし穴は其処に在る。
これで、大人が酒を呑んでいたら注意が散漫になる恐れが大いにある。
経験があるので断言できるが、酒が入ってしまえば手元にあるコップをひっくり返してしまうくらい注意力が散漫だ。
個人的には子供にはせっかくのアウトドアなので羽を伸ばしてもらいたい。
だが、どんなに距離をとっても決して目を離してはいけないのだ。
大人でも見通しの悪い沢や森に入れば方向感覚はあっという間に無くなってしまう。
自分がどの方向から来たのか、目印となる指標が取れないのでいともたやすく戻れなくなる。
周囲の状況を理解できない子供が、道も無い森に迷い込めば似たような木々が茂る風景に翻弄され、もと居た位置に戻る感覚を遮られ、いつの間にか深く山に分け入っていた、となっていたとしてもおかしくは無いだろうと想う。
また、9人が150m先にある沢に向かったとあり、その後大人が迎えに行ったとあるので、子供たちだけで沢に入っている可能性は高い。
その間わずかとはいえ、大人たちは子供を引率せずお酒を呑んで宴会でもしていたとしたら、それが致命的ではないかと俺なりに感じている。
酔ってフラフラにでもなれば、子供の面倒などまともに見れまい。
店舗のように閉鎖空間ならいざ知らず、アウトドアなのである。
ましてや森の中で150mも離れれば絶対に目は届かない。下手をすれば助けの声も聴こえないのではないか。
たまたま1人遅れて行った女児が(人攫いにしろ道迷いにしろ)行方不明になっただけで、先行してた9人が行方不明になっていた可能性も高い危険な状態ではないだろうか。
15時35分に9人の子供が出かけてその5分後に女児が後を追いかけた。その10分後に大人が迎えに行って16時に女児がいないことに気が付いた。
女児が単独で出かけたのを15時40分とすると、大人が女児の行方不明に気付くのに20分間かかった。
7歳の息子が右田ヶ岳でスタートから20分経過したときに進んだ距離はロギングデータから850m。勾配の多い山道を7歳児は20分間で850mも登りで進んだのだ。
もっと言えば、息子との登山の時に3時間で5.5Kmを歩いている。
850m、5.5Kmを『距離』か『範囲』か捉え方で変わってくるが、捜索の『範囲』と捉えると、山深い場所でランダムに移動する子供を後追いで探し出すのは至難の業の領域に達していると言わざるを得ない。
子供の群れの中に常に大人は必要である。
今回の件で言えば、これに尽きる予防線は無い。
特にキャンプ場は自然との境界があいまいな場所が多く、いつの間にかキャンプ場からそうでない部分に足を踏み入れてしまう事はいともたやすい。
キャンプ場はあくまでグレーゾーンの境界線上。
ほんの些細な行動で自然の奥深くに転がり込んでしまうことを、酒なぞに酔わず肌感覚で感じるところから楽しみたいものである。
子供を連れてキャンプをするときは、慣れるまでは家族だけでこじんまりとする方が安全なのかもしれない。
上の記事で撮影している写真を見ればわかってもらえると想う。
キャンプ場はグレーゾーンでたった数十mも外れれば河や森だ。
アウトドアというレジャーは、我々に非日常を与え、色々な景色や体験を与えてくれる。しかしながら表裏一体で命にかかわる危険性がある事を忘れてはならない。
その非日常の狭間には闇がある。
この度発見された遺留品が行方不明の女児の物ではなく、無事に戻って来てくれるのを願うばかりである。
スーパーボランティアの尾畑さんの言葉を借りるなら子供は上へ行く。
捜索は周辺の河川流域だけでなく、山域も含まねばならない。