テントを設置した後、秋吉台CAMP2019の会場をケインと二人で散策していた。
すると後ろから、
「すみません。どこかでお逢いしたことはないでしょうか?」
と、声をかけられた。長身の20代前半の若者だった。
一瞬、「ん?」と思った矢先、ケインが驚いたように声をかけた。
「あれ!ベッチーじゃん!」
10年近く前ストークバムに引っ付いていた子供グループ・ストークフレンズのメンバーだった子だ。
小学生から高校生くらいまでの間の集まりで、ストークバムが主催するイベントには必ず現れていた子供たちで、当時は子供たちと一緒にジャグリングをやったりして仲良く遊び、友人のように接していた奴らだ。
その世代の時間の進みと変化はめまぐるしい。
大人になると何の変哲もない日常をループするだけだが、彼らは進学、就職とそれぞれの道を選んだりランダムされたりして散り散りになってしまう。
そんな例に漏れず、ストークフレンズのメンバーはジャグリングのイベントから遠のいていった。
彼らの成長を見送ったと思い、それも自然の流れと考えていた。
俺もそうやって外に出てきた身だからなおさら理解できた。
青い服がケイン。黒い服がベッチー。
背を越されていたわ。
背が伸びたね、なんていうほど彼は子供でもなかった。
県外に移り住んでいたようだったが、諸事情あって地元に戻ってきたそうだ。ベッチーの姿は何処か疲れているようだった。
「戻ってきて、昔のように出逢えるとは思ってもみなかった。ストークバムにいてジャグリングをしていて良かった。」
そうだね。
俺も、ケインも同じことを想ったよ。
ベッチーと何年ぶりになるだろうか、短い間ながらジャグリングをやった。
ぎこちなさはあったものの、ジャグリングの腕は落ちてはいなかった。
「体に染みついてますね。」
「ええね。またストークバムで絡もうや。」
小さな火種があれば、またやれるっしょ。
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過去から現在、そして未来へとつながる旅の道中。