蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

山行記 亀山・火の山・陶ヶ岳 火の山連峰縦走

ちょうど一週間前。山口セミナーパークの裏にある火の山で山火事が発生し、実質4日間燃え続けた。週末に雨が降ったのでそれでようやく鎮火した感じだった。

出火元ははっきりしておらず、セミナーパークで草刈りをして刈り取った草を集積して置いていたところ、そこから出火したとの報道だったが、直接的な原因はいまだ不明のようだ。

 

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約50haもの面積の森林が燃え、出火元の斜面から反対側の斜面まで焼き尽くしたそうだ。

鎮火もして実況見分も終えているとの事だったので、様子を見に登山口へ足を運んだ。

陶ヶ岳を単体で登ることはあったが、縦走をするのは8年ぶりだ。

この時は登山を始めたばかりだったので、近隣の低山を探索していた時期だった。

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この時と同じルートで、セミナーパークの第8駐車場の亀山へ向かう登山口から、亀山山頂を踏み、それから陶ヶ岳へ向かう縦走路を抜けるルートを辿る事にした。

特段、規制線とかは無く、平常を取り戻しているような状態だった。

ここ火の山連山は右田ヶ岳と同じく山体は花崗岩で覆われており、特に連山の南側に位置する亀山と、北側の陶ヶ岳は不気味にそびえる巨岩が立ち並んでいる。

その絶壁の巨岩はクライミングルートとして開拓されており、県内外から多くのクライマーが訪れる県内でも珍しいクライミングスポットだ。

ライミングの国体コースにも設定されていた。

セミナーパークにはボルダリング用の人工壁が建設されていたり、県内のクライミング文化を根強く支えている重要拠点だったりする。

近隣山岳会のトレーニングコースだったり講習会などにも利用され、関係者は心配している様子だった。

かつての人里の痕跡と思われる石垣を超える。

稜線に取りつくまでは右田ヶ岳を彷彿とさせる急登の岩場が連続し、とても低山を登っている感覚ではないほど息が上がる。

振り返って眼下を望めば先程車を停めた駐車場を見ることが出来た。

亀山山頂へ到着。ここからが縦走路への起点となる場所だ。

そしてその先にある縦走路を望むと・・・。

すぐ隣の山の山頂以降は真っ黒な状態だった。

この亀山から陶ヶ岳までの間が一面火の海に覆われたのだ。

最高点火の山を中心とした一帯が全て焼き払われてしまっている。

幸いにも、登山道は踏み跡がしっかりついていて岩稜が露出していたこともあってか、ルートは明確になっていた。

一度登った亀山から縦走路へ入り、いったん標高を落す。

このアップダウンが続くのが何気に体力を削ぐ。

良くも悪くも快晴、登山日和なのだが木々が低いどころか焼き払われて丸坊主になってしまった稜線を歩くことになるので、日差しと気温の高さにより一層体力を削がれてしまった。

痩せた樹林帯から突然、開けた空間が現れる。

登山道は白くその他は地面も木々も真っ黒に焦げてしまった状態。

秋吉台の山焼きとは圧倒的に違う雰囲気。

花崗岩で覆われた山体の特徴で、岩のせいで木が山の斜面に根を張れず、基本的に幹が細く背も低い貧相な木々に覆われていることが多い。

そして、植生としてはシダなどの低層を覆う植物が多く、さらにその下には落葉が山のように堆積しているのが特徴のように感じる。

雨の降らない時期が長く続き、乾燥しきった大量の落ち葉に引火してしまえばあっという間に燃え広がってしまうのだろう。

火災当時はさらに不運な事に南から吹き付ける海風が出火元の東側の斜面に吹き付けてより一層火の手を強めたようだ。

遠くは美しい田園風景が広がる景色。

地面は焼け焦げて真っ黒だ。

斜面に生えていた草木は完全に燃え尽きている。

この上を歩けばものすごい勢いで灰が舞いあがった。

 

東側の斜面の様子。

風が吹き付けた影響もあり、こちら側の斜面の燃え方は尋常じゃない様子。

頻繁に立ち寄ったわけではないが、その奥にある亀山の斜面と比べてみると、元の風景からの一変の仕方は想像が出来る。

右側は東側の斜面。こちらから風が吹き付けて燃え広がったのだ。

2日目には稜線を超えて炎は写真左側の西側斜面へと延焼していく。

西側斜面に幾分か木々が残っているのは、下草だけが燃えただけだからだろう。

風に吹き付けられて強まった炎が東側の斜面を焼きつくしてしまったのだ。

炎の強さを改めて実感する。

西側の斜面の木々は焼けたとは言え、多少は残っているものの、このまま立ち枯れてしまう恐れは十分にあるだろう。

最高点火の山付近になると稜線は左右共に真っ黒焦げ。

稜線から西側に少し外れたところに最高点標識があるが、炎はぎりぎりの所をかすめていたようだった。

山頂標識も国旗もどうやら無事。

傍にある石室も火災の被害は免れていたが、よく見ればすぐ後ろの木々は茶色に焦げている。

本当にギリギリだったようだ。

他の頂きも山頂標識の看板があったり、案内看板があったりしたのだが、この火勢によって焼失していた。

綺麗な田園風景。西側斜面もかなり広く燃え広がっていた。

このまま進めば住宅地まで目と鼻の先。危ういところだったろうし、住民は気が気じゃない状態だったろう。人的被害が全くなかったのは不幸中の幸いと言わざる得ない。

木々が燃え岩場が露出。

こう見るとかなりの面積を焼失したことになる。

今まで辿ってきた焼けた稜線を望む。

このピークを抜ければ、焼け野原を抜ける地点だ。

又突然現われる、緑の稜線。

本来はこんな風景が延々続いていたんだけれどなぁ。

眼下に見える最後のピーク。陶ヶ岳を目指す。

今まで焼け野原になっていたルートから両サイドをシダに覆われたルートへと急変したので目まぐるしさを感じた。

陶ヶ岳の頂に到着。

ここでしばし小休止。

振り返ってみたら、緑の稜線。とその奥には焦げた稜線。

もののけ姫ダイダラボッチが暴れ回ったシーンを思い出す。

絶好の登山日和だけれども。

陶ヶ岳のピークを踏んだ後は素直に下山ルートへ。

急峻な登山道を慎重に下って行く。

セミナーパークから火の山連山を望む。

ほぼ、3つ分のピークが火に飲まれたのだ。

最終的には大雨で鎮火したようだが、それまでに延焼を食い止めようと活動した消防隊や自衛隊には頭が下がる思いだ。

 

はてさて、これからどうなるやら。

秋吉台カルスト台地石灰岩に覆われており、毎年の山焼きを行っていても翌年には緑が復活している。

ここ、火の山連峰ではどのようになるのか?

他の森林と違い、花崗岩で覆われた山がどのような植生で緑を戻していくのか非常に気になるところ。

現状の木々の様子を見ても植林なんてしても絶対育たないだろうしね。

花崗岩が露出しただけの荒れた山になるのか・・・。

どちらにしてもいつかは火事から逃れられた場所と同じような雰囲気に戻っていくのだろうが、ここ2,3年で元に戻った、というわけにもいかないだろうな。

 

〇火の山連山縦走

セミナーパーク南側にある第8駐車場から入山し標高300mピークの亀山へ。

北側に向けて縦走、セミナーパークを通過して元来た場所へ到達。

 

走行距離:6.54km

走行時間:2:20'19

平均ペース:21'26"/km

消費カロリー:515kcal

平均心拍数:151bpm

 

上り下りが激しいので体にかかる負担はいつも以上に感じた。

来年の春先とか定期的に登ってみようかな。

8年前に縦走した記事と比べると、山の変貌ぶりが分かる。

どのように変化していくのかは、次の登山の時のお楽しみだ。

 

 

 

 

【追記】

この日近所の山の麓で火事があったと騒ぎになっていた。

目の前は広大な里山なので、延焼すると大変なことになるのだが、一先ず消し止められたらしい。

いったいどこで火事があったのか、娘の散歩がてら夕方に近くをうろついてみると、いよいよ山の麓に火災現場があった。

 

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なんと、養蜂農家さんの小屋。

蜂蜜を精製する機材や、巣箱が沢山あった場所が丸ごと燃えていた。

なんてこった。

この養蜂場どうなるのやら・・・。

結構年配の人だったし廃業なのかなぁ・・・。

 

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そういえばこの時登った竜ヶ岳も山火事で一部を焼失していたな。

調べた記録によると2010年9月頃に山火事が発生していてその5年後に初入山して前記のブログを投稿している。

この時は山火事5年後の段階で山火事跡と分かるような状況だった。

山火事から14年経過している今はどうなっているのだろうか?

山火事後の自然観察という目的で足を運んでみてもいいかもしれない。