蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

山行記 花尾山 本谷コース→鈩コース

花尾山山麓ミツマタの撮影から半月ほど。晴れたタイミングと休みが合ったので早速花尾山の山頂を目指す。山頂は360°の大パノラマという事だったので出来るだけ天気の良い日に出向こうと思っていた。

ただ、天気は良いものの黄砂が飛来して霞が酷い。

遠くまでは見渡せそうにはないが、天候・気温的にも登山日和なのでとにかく足を運ぶことにした。

市の尾構造改善センターという言わば自治会集会所のような場所が花尾山の登山者駐車場として開放されいてそこの駐車スペースに停める。この集会所も玄関が解放されており、トイレの利用が出来たり、地域お手製の登山マップを手に入れることが出来た。

田んぼに沿った舗装農道を進むと本谷コースの入り口。

距離は3Kmと程よい距離だ。

本谷の名の如く谷を進むルート。ガレ場や落葉が多いこともあって登山道との見分けがつかない事が多いが、かなり短い間隔でピンクテープが張られている為安心感が高い。

調べてみると開拓されて間もない比較的新しいルートのようだ。

小川からの水路があったり、苔生す石垣があったりとかつては人の営みがあった痕跡が随所にみられた。要所要所に案内の看板が設置してある。

傾斜自体は緩やかだが、何処からか流されてきたのかガレた岩が多く行く手を阻む。

落葉も多い事から東鳳翩山のように明確な踏み跡まではついていない箇所が多い。

谷を進むこともあって急斜面をトラバースするようなルートも多いため、慎重な足運びを要した。

ここも間伐などで植生が管理されているようだ。

深い森ながら日差しが差し込み、背の低い樹木にも光合成を促していた。

山域の森自体は深いが雰囲気は明るい森だ。

運が良ければ野生のシカを見ることが出来るそうなのだが、個人的には野生生物とは遭遇したくないので、熊鈴を鳴らして歩いた。

緩やかに続く登山道は意外にも足に来る。

息を切らしながら一定のペースを維持して進む。

倒木に苔が生し命をつなぐ。

自然の循環。

休耕田にシリコンと金属の太陽光パネルを敷き詰めるより、木々を植える方が二酸化炭素を吸収し持続可能なんじゃないかと常々思っている。

まだ人が通るのが少ないのか、谷ゆえに荒れやすいのか分からないが、行く道は少し不明瞭。正直ピンクテープが無いと開けたような緩い斜面では行く先を見失いそうな場所が多い。

麓の集会所もそうだが、地元の人たちのお陰であることは存分にあるように想える。

桂の巨木。立派な樹だ。

苔生す斜面の登山道を進む。普段歩きなれた右田ヶ岳と様相が遥かに違うので出逢う風景は新鮮に感じる。

新緑が眩しい。

ひたすら樹林帯を進む。右田ヶ岳ほどの急登ではないが緩やかな傾斜が延々と続くとそれなりに体に堪えるもので、とにかく体力の続く限り休まず止まらず山道を突き進む。

感覚的に右田ヶ岳よりも体力を使っている感覚が強い。

谷の渓谷沿いを進むこともあり、所々に現れる涼しげな滝を鑑賞しながらの登山。

樹林帯に入ると何処か風景に単調さが出てしまうが滝や小川、苔生した様子など見所が多いのがこの山の特徴だ。

 

谷底からの急登を登り詰めると座禅石が現われる。今は未整備になっている登山道との分岐点のようだ。

ここから山頂に至る稜線へと入り、山頂までのラストスパートだ。

稜線に入ると木々の背が低くなり展望が開けてくる、新芽を宿した木々の奥に頂が見えた。

傾斜を登っていくが、山頂までのラスト100mは今にも滑り落ちそうなほどの急登で、余りのきつさにその急登っぷりの写真を撮り忘れていた。

ぬかるんでいたりしたら要注意の場所だ。

急登を登り詰めて山頂へ到着。山頂には一等三角点と標識。そして歌碑が立てられていた。

そして開けた山の頂には珍しく二つのお社が祀られている。

一つは北の日本海側を向く花尾権現。

もう一つは南の秋吉台側を向く吉野権現のお社。

ガイドブックには朽ちた鳥居が痛々しいとの記載があったのだが、吉野神社側に立派な鳥居が建立されていた。どうも看板を見ると昨年に地元有志の力で幻の鳥居復活プロジェクトと銘打って鳥居を復活させたようだ。ガイドブックに載っていた社の写真と比べる石垣も組み直されているようで、お社もしっかりとした姿に復元されているようだった。しかし鳥居の材料をどうやってここまで運んだのだろうか?

陸送でもこの急斜面はかなりの事だと思うが。鳥居だけに限らず、石碑にしろ石垣の石にしろ、そう易々と山頂まで持ち運べるものでは無いのでよくここに築き上げたなと感心するばかりだ。

山岳信仰ではないが、こうやって見てみると地元に良く愛されている山だなと感じる。

ちょうど昼時だったので権現様の下で湯を沸かし、久しぶりの山頂での昼食。

定番の袋ラーメンを食す。

もう少し空気がクリヤだったらなぁ。

北には日本海側の北長門海岸国定公園、南には秋吉台国定公園と二つの広大な国定公園を見下ろせる絶景ポイントなのだが、両方とも霞んでしまっていた。

展望が良いと小野田側の瀬戸内海、さらに奥の九州は国東半島も見えるらしい。

 

昼食後はお決まりのコーヒータイム。

風も穏やかだったので遮蔽物のない山頂でもゆっくりと過ごすことが出来た。

山頂から見ると本谷コースの看板があるが周回コースになる鈩コースの看板が無い。

すぐ横の樹林帯を進むのか、露出した斜面を進むのかよく解らなかったが、吉野権現側の斜面にロープが張ってあったのでどうやらこちらがもう一つの道のようだ。

ここも本谷コースの最後の急登に負けないくらいの急斜面で、滑り落ちないように慎重な足運びで斜面を下りる。

斜面を下りて樹林帯に入るところで分岐看板があった。

もと来た道に戻るには鈩コースだ。

美祢市方面のルートはガイドブックには嘉万(けま)コースと紹介されており、こちら側がミツマタ群生地がある麓に辿り着くルートになっている。

今回は元来た場所に向かうため鈩コースを下って行く。

途中、「おとずれ杉」と言われる杉の巨木の下で小休止。

杉林の樹林帯を進む。

どちらかというとここのルートの方が踏み跡もあり明確だった。

ルートの良さで言うとこちらの方が行き来しやすいかもしれないな。

こちらのルートも渓谷沿いで、所々に掛けられた丸太の橋を使って右岸、左岸と進みながら下山する。

樹林帯を抜けると舗装路に至り、その舗装路を辿ると元来た集落に降り立つ。

舗装路終点には2台ほどの駐車スペースはあり、車で来れそうだったが、離合も出来そうにない道なので、市の尾構造改善センターの駐車場に止めた方が無難なようだ。

こちらに案山子と案内板があったんだね。

登りの時はその隣の田んぼ道を歩いてきてしまっていたようだ。

〇往路:本谷コース

走行距離:4.0km

走行時間:1:16’55”

平均ペース:18’54”/km

消費カロリー:406Kcal

平均心拍数:166bpm

 

〇復路:鈩コース

走行距離:3.36km

走行時間:46’41”

平均ペース:13’53”/km

消費カロリー:224Kcal

平均心拍数:139bpm

 

国道からの交通アクセスも良く、駐車場も数台ながらあるので山域には至りやすい。

個人的には車での移動なので南側からのアクセスになる嘉万(けま)コースよりは

こちらからの入山が良いだろう。

ミツマタの撮影で恐ろしく狭い未舗装路を走って途中で断念し、広場で車を置いて歩いて群生地まで行ったのだが、車でこの群生地よりさらに進んで登山口に至るのはちとしんどいのでこちらから登るのは無いだろうな。

 

ikazuti-d.hatenablog.com

 

 

本谷コースは開拓されて日が浅いのか踏み跡らしい踏み跡は少なく地元有志に取り付けられたピンクテープを目印に登らないとルートを見失いそうになる。

分県ガイドの山口版を新旧で所有しているのだが旧版にはこの本谷コースの紹介は無く鈩コースの往復のみの記載しかなかったが、新装版ではこの本谷コースから鈩コースの周回ルートが紹介されていたので参考にさせてもらった。

個人的には急登の右田ヶ岳を短期間で登る事ばかりしていたこともあって、緩やかな傾斜を長い距離と時間をかけて登るのに体が慣れていなかった。

特に登りはペースを維持し続けることを意識して歩いたこともあって、登りの平均ペースは高く、平均心拍数も比例して高い数値を示し、トレーニングエフェクトは高い結果になった。体力増強を目指そうとするとこれくらいの山を登るくらいの負荷は平均的にかけていないといけないんだろうな。常時163pbmの心拍数を維持していて、最高心拍数は188bpmだった。こういう数値がトレーニングとして体にいいのか悪いのかは勉強していかないといけない。

肉体的には軽い筋肉痛が残ったくらいか。

 

山頂は大パノラマで霞んでいたものの眼下に広がる風景を見て疲れが吹っ飛んだ。

今度は晩秋の空気が澄んだころにでも訪れてみたいところだ。

帰りは国道316号線沿いにある道の駅・おふく温泉で汗を流して帰宅した。