『同じ趣味なら、どこぞの山の山頂でお逢いすることもあるでしょう。』
年下の後輩君の影響を強く受けて俺は山登りを始めた。
遠巻きながら、彼の山を登る姿を応援していた。
お互いの関係性と距離感を考えて、あえて山行を共にすることが無かったのは暗黙の了解だったかもしれない。
彼は『今年一年で100回右田ヶ岳に登る』という目標を掲げていた。
今日、トレーニングで右田ヶ岳を登っていると、山頂で声をかけられた。
振り向くとその後輩君だった。
「後ろ姿で分かったっすよ。」
「お、長かったね。いずれはと思っていたが、ようやく逢えた。」
立ち上がると、彼の傍には一人の女性がいた。
「今日、入籍するんですよ。入籍日に目標にしていた右田ヶ岳100回目登山を彼女と一緒に迎える。それを目標にして登っていました。この大切な節目に、DAISUKEさんと山頂で出逢うのは運命ですね。」
「そうか。おめでとう。」
握手をし抱き合って祝福した。
山頂に居た常連さんも、みんな彼ら二人を祝福した。
後輩君が彼女さんに俺を紹介するときに
「この人があのテキーラの夜の人・・・」
という、悪名をつけるわけさ。
彼女さんも、
「ああ!あの!!」
って、ご周知の様子・・・。
ikazuti-d.hatenablog.com
いやいやいやいや・・・。
詳細は別にするが、この時の記事には後日談があってかなりインパクトのある出来事だったのだ。
ともあれ、周南米のテキーラおじさんは初々しくも微笑ましい二人の門出を山頂で祝福するのでした。
こうやって大自然の片隅で、偶然にも誰かの大切な瞬間に立ち会うことが出来るのは、大いなる何かが引き合わせてくれたとスピリチュアルに捉えないと納得できない出来事もあるわけで。
二人の行く末に幸多からんことを。
俺は今日の山行を一生忘れることは無いでしょう。