最後は手作りのデザートまで。ありがたや。ありがたや。
天候も悪いし、このまま次郎笈まで行っても仕方がない。そんなことよりも腹がいっぱいで山行に満足してしまった。
山頂にこだわらずとも、満足はするものなのだ。
「旨いもん食って腹がいっぱいになると山頂に行かなくても満足してしまう。」
なるほど。それは一理ある。
正直、今までの山行で一番腹いっぱいになった食事だろう。
それくらいおいしかったし、びっくりするほど食べさせてもらった。
この御恩はいずれ何かで返します。
和宏さんから「これを持って帰るがや」とお土産が手渡された。
高知名産のワインとポン酢、いもけんぴ。
夜用にと田舎寿司の詰め合わせまで。なんとまぁ。
大体登山を終えて帰るときは幾分か荷物が減って軽くなっているのだがザックいっぱいの荷物になってしまった。
おまけに超満腹状態。
「靴ひもを締めようとしたら、腹がつっかえますね。こりゃ参った。」
「うん。あるある。」
まぁ。よくあることだけれど、下山を始めると空が晴れてくるよね。
それも自然の中で遊んでいることだから当たり前の話。
遠くは三嶺の頂。
あの頂上付近の平地でする雪遊びは最高に面白いという話を伺った。
帰りだけでも晴れてくれて、見たかった四国の山並みを望む事が出来てよかったな。
振り返ると、
先程までいた剣山山頂が見えた。こうやって見るとこの地の秋はもう終わりを迎えているのが一目瞭然だった。
西には今回の最終目的地としていた次郎笈の尾根と頂。
あ~。あそこまで行きたかったなぁ。
「また、遊びに来ればいいがや。次のお楽しみよ。」
そうですね。石鎚山もそうだったけれどいまだにまた訪れたいと思っている。
山々にはそう想わせる何かがあるのかもしれない。
そしてここ剣山もそうだ。
山並みが美しい。
濃霧と強風の中をさ迷い歩き、ここに至ったからこそ尚更そう感じる。
道中も遊山黒子衆の皆さんと色々な話をしながらの山行となった。
もう少し長くみんなと一緒にいたかったのだが、あっという間の下山に思えた。
登山口の剣神社石段の下でお別れをする。
『行ってらっしゃい。』
別れ際にそう言われた。
『必ずここへ帰ってきます。行ってきます。』
皆と固く握手を交わした。
『行ってらっしゃい。』
とも人のお祭りで別れ際に言われた言葉がこの言葉だった。
おまつりの世界と山登りの世界にリンクする一つの言葉。
『行ってらっしゃい。』『行ってきます。』
必ずや再び、皆さんの元へ。
頂いた『遊山黒子衆』の証。
今シーズンに立てた目標はとりあえず無事達成を遂げた。
石鎚山登頂以後、遊山黒子衆の皆様からお誘いを受けてより、2年越しの約束を果たせた。
何よりも彼らの山に対する姿勢や登頂だけがすべてではないスタイルは自分なりに受け入れやすいものであり、背中を追っていきたいと思える瞬間でもあった。
河童さん、奥さん、和宏さん、山猫さん。
短い間でしたが、お付き合い頂きありがとうございました。
次なる目標は、冬の四国。
これは河童さんと指切りげんまんしたので、今一度自分を鍛え直して、必ずや四国へ馳せ参じる所存です。
皆と逢えて、次の目標、やってみたいことが出来ました。
ありがとうございます。
また遊んでください。
往路:見ノ越峠→剣山(大剣神社経由) 1時間40分
縦走:剣山→一ノ森(尾根ルート) 1時間
:一ノ森→剣山(行者ルート) 1時間10分
復路:剣山山頂ヒュッテ→見ノ越(刀掛) 1時間20分