会社の現金管理を任されていたにも関わらず勝手に持ち出し、パチンコ、競馬とギャンブルで使い果たした。
病気と偽り会社を休んで金策に走るが、駄目だった。
結局、会社にばれて解雇。
名目上は諭旨解雇で、退職金を手に入れた。
其処にどんな都合があったのかも、誰が横領したお金を補填したのかも知らないし、関係ない。
そんなくだらない出来事が、自分の隣の机で起こった。
偉そうに、仕事のやり方やあるべき姿なんぞを俺に向けてほざいていたが、結局はその程度の器だった。
あの程度のはした金でやらかした、まさにクズだ。
後に、どういう訳か下請け会社に再就職して、なかなか位の高い役職に就いたという噂を聞いた。
狂っている。
狂っている。
『もう、俺の戦う場所は、ここじゃない。』
次々と現れる『扉』。
一つ一つを開け放ち、進んでいく。
恐れず進み、手にした者だけが見える世界。
・・・ああ、これだ。背筋を通る電撃。
そして、大気を焦がす焔の音。
血が沸騰する感覚。
この感覚。この感覚こそが・・・・。
『敵』とか『味方』とか『優秀』だとか『劣等』だとかそんな稚拙な枠組みなんて其処にはなかった。
血の通った出逢いの全てが自分を高めてくれる。
小汚い田舎街。無数に立ち並ぶパチンコ屋のネオンはもう輝いてはいなかった。
『あの輝きは偽り』
やっぱりそうだった。
言われなくても俺には解っていたよ。
そんなこと。
目を閉じて。
其処に映るものを、静かに、ゆっくりと持ち上げるんだ。
その、輝きこそが・・・・。
『目を覚ませ。』
これは、システムに対する、俺のささやかなる反乱。