周南市の西側。
人里を離れたところに不気味な『闇』がある。
細い道を進むと鬱そうと生い茂る木々の向こうに、その『闇』が見える。
人里を離れたその場所は酷く静まりかえっている。
梅雨時期とあってか、空はどんよりと曇り不気味な湿気が辺りを包む。
静かにその『闇』に近づき、覗き込む。
仄暗い闇が目の前に在る。
トンネルの先はどんなに凝視しても何も見えない。
長いのか、曲がりくねっているのか、行き止まりなのかさえ分らない。
トンネルならばあるはずの先が見えないのだ。
「ピチョン・・・・・・・ピッチョン・・・・・・・・」
『闇』の奥から聞こえるのは水が滴る音だけだ。
・・・いや、これは本当に水が滴る音なのか。
空はどんよりと曇り不気味な冷気と湿気が辺りを包む。
其処にたたずむのは、俺だけなのか・・・。