狂る 狂る
狂る 狂る
歯車は廻り続けている。
あらかじめ運命付けられた道を進み、
その時が訪れるまで廻り続ける。
時間の感覚が薄れていく。
今が何日の、何時なのか。
陽が昇り、沈む。入れ替わるように、月が昇る。
在るのは其れだけ。
まつりは音楽が鳴り響き、多くの来場者がテントを張って暮らしている。
買出しで山を降りたとき、此処は牧場のど真ん中であることを実感する。
しかし、まつり会場に入ると一転し、どこか遠い国に来た感覚になる。
まつり会場を食べ歩きしながらフラフラしていると、声を掛けられた。
声を掛けた相手はなんとストークバムのタケさんだ。
「なんでこんなところに居るの?」
お互いびっくりした。
奇跡の再会。
山口県を出た俺は、彼と会う機会が少なくなるので、残念に想っていたのだが、まさかの熊本での再会。
テントの設置場所に困っていたので、俺の隣を紹介した。
手際よくタケさんと彼女のレイチェルさんが自分達のテントとストークスティックの店を設置する。
手作りストークスティックは子供達に大盛況だ。
タケさんのお店が盛況なのを見届け、また会場をフラフラする。
ふと、会場のメインストリートをガタガタと進むランクルが一台。
ルーフには荷物が満載。
なんじゃコイツはと、見ていると。
「あ!」
運転手の顔を見てびっくりした。
美東の桜祭、アースディ瀬戸内で度々、出逢っていたあの人だ。
「よく逢うね!」
ランクル運転席から身を乗り出して握手する。
「まったくです。ようこそ!!!」
思わずこの出会いに嬉しくなった。
「ここら辺にテント張るから遊びに来てよ」
「俺も向こうの方でテント張ってます。酒でも持って遊びにいきますよ」
奇跡の再会。
嬉しくなって、ワイン片手に遊びに行った。
腹が減って倒れそうだった俺にスパゲッティをご馳走してくれた『NOLYさん』。
カメラ話に華を咲かせた『社長』。
酔っ払っている『幸昭画伯』。
以前上関のイベントで出逢った『てんこ』ちゃん。
ワイルドなお兄さん『さらぽ』。
そして、山口で小さな出会いと別れを繰り返し、初めて名前を知った『おかちゃん』。
熊本、夢の国に「山口村」が出来上がっていた。
酒をたらふく呑む。
おかちゃんと色々話をした。
俺はストークバムのタケさんと友達。
おかちゃんはストークバムのタケさんと幼馴染。
世間てこんなに狭いのか?
テントの前で、学びたての革細工を自分が今まで撮ってきた写真集と共に並べる。
ふと、RYOの仲間の桜が立ち寄ってくれた。
ぱらぱらと写真集を見てくれる。山口の景色をとても気に入ってくれた。
ぱらぱらとめくってくれる。
ふとSKATYの写真で止まる。
「光君や!これ光り君やろ?」
と桜がびっくりする。
「何で知ってんの?」
光君こと長州を代表するレゲエミュージシャンSKATYとはタイを旅しているときに出逢ったそうだ。
たった一枚の写真で繋がる。
世間てこんなに狭いのか?
ストークバムの店先でシュウさんとポイで遊ぶ。
『人生で、最もわくわくしている。沸き立つこの感情を言葉に言い表すことが出来ない。』
俺は、神様を信じない。もし、居たとしても傍観しているだけだ。
でも、神様じゃない、大いなる意思がこの出会いを結び付けたに違いない。
歯車は廻る 廻る 廻る
狂る 狂る
狂る 狂る
狂る 狂る
狂る 狂る
この歯車は 運命の歯車。
廻り
廻り
丸い輪っかになった。