蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

もう一つの田ノ浦

歯車は廻る。

回顧録 @虹の岬2009の話は完結を迎えていないが、少しだけ歯車の回転を現在に戻す。





狂る 狂る


狂る 狂る





時は2011年3月26日からの出来事。





山口に引っ越すことになった。
と言うよりも、2年の任期を終え、戻ることとなった。

会社の寮に住むのはもう、うんざりだったのでアパートを借りた。

紆余曲折があったがとりあえず住むところも決まり、その下準備に山口に滞在した。


フツーのアパート。少し広め。一人で住むには広いくらい。


場所は、『中関』。


山口に昔からある3つの関所。『下関』『中関』『上関』の真ん中の『中関』に住むことになった。住所は違うがエリアとしてはそんな場所。意図せずに住むことになった。
何の因果か。



実家においてあった家電を引き取り、生活用品を備え、少し長めに貰った休暇をこの地で過ごした。

海の要所とだけあって海が近い。

そして、目の前には『向島』とばれる島が橋続きで存在した。

この日は朝早く目覚めたので、周辺を散歩することにした。

この島にある小学校の校庭には山口県下でも有名な桜がある。

防府市指定天然記念物『向島小学校の寒桜』。
見ごろを向かえ桜は満開だった。
詳細な記録・沿革は不明だが約90年以上も前に当時の卒業生が植樹したものだそうだ。

空は、蒼天に恵まれ桜が映える。美しい桜。

島を歩いていると、というか入り口から見えたのだが、大きな鳥居がそびえる。

『立岩稲荷神社』と書いてあり、道は山に向かって続いていた。

・・・行くしかないでしょ。

ふらふらと歩く。


直ぐにお稲荷さんが見えた。


ど、どうもこんにちは。
他にはお地蔵さんが3体くらい。小さなお稲荷さん。
・・・道もまだ続いているし進むか。


天気もよく、良い景色。
道を行く。

たぬきの生息地らしい。自然豊かなのだな。



道を行く。



道を行く。道路をトボトボ。




お地蔵さんが並んでいる。こんにちは。



道を行く。道は砂利道。




お地蔵さんが並んでいる。こんにちは。



道を行く。道は山道。



お地蔵さんが並んでいる。こんにちは。



道を逝く。山道を昇る。




お地蔵さんが並んでいる。また、逢いました?







・・・京都の伏見稲荷大社で味わったループ。
一本道を来たのに迷ったか。

ふと、見てみると。

『五十番』

進むにつれて・・・。
五十一番、五十二番、五十三番・・・・・・。


・・・・行くしかないでしょ。
アドベンチャースピリットに火がついた。
と、山の頂上付近に小さな祠。周囲には小さな小川が流れる神秘的な場所。

挨拶をする。

『白龍大神』
そうか、ここは龍が守っているんだ。

そういえば、上関も『竜宮神社』があったな。
何かつながりがあるんだろう。
同じ龍が祀られている。


道を行く。山道をくだる。



お地蔵さんが並んでいる。どこまで続くのか。


もう島を縦断して反対側に出そうだ。


と、ひときわ大きな神社が現れた。



ここか。挨拶をする。よろしくお願いします。


だが道は続く。


無数の鳥居の向こう。



海の音。


とうとう反対側まで来てしまった。




岬の先端。
『八十八番』。
出逢えました。


『卍』(仏教では吉兆を意味する)

此処が終着点か。






そう想っていると、岬の下、崖を降りる道を見つけた。

俺のアドベンチャースピリットは火を燈したままだ。

降ってみる。


崖の下、岩場に何か見える。


急な道を慎重に降りる。





そこには







断崖絶壁の地にどこか哀しげな表情を浮かべた大きなお地蔵様が一体。




そして祀られた大岩。




其処は、瀬戸内海に面する断崖絶壁の岩場に存在する聖域だった。
『立岩稲荷神社』
立つ岩の下にある神社。




そして、大きな岩山の大きな亀裂。



亀裂は、奥深く続く。


その亀裂の中に在ったのは。



御神体』。
この地形そのものが神社だったのだ。


湧き上がるアドベンチャースピリットの先、そこに聖域が在った。




合掌。


聖域より海を望む。

地図上でこの先には『祝島』がある。
さっきの哀しげな表情のお地蔵さんが向いていた方向だ。

此処は『レイライン』(聖地が一直線に並ぶこと)なのか?


あまりにもスピリチュアルな出来事だった為ぼんやりした頭のままもと来た道をもどる。



そして、看板には。


上関に龍神護りし『長島』在り、その先端に『田ノ浦』在り。
中関に龍神守りし『向島』在り、その先端に『田ノ浦』在り。






上関に龍神護りし『長島』在り、その先端に『田ノ浦』在り。
山は削られ、発破の音で動物の気配が無し。
気象調査の為の電子音が常に鳴り響く。
今や埋め立ての工事の為、人々が争う哀しい地。




中関に龍神守りし『向島』在り、その先端に『田ノ浦』在り。
山は緑に覆われ、野生動物が安心して生活する。
其処には、波と風の音しか聞こえない。
日本の海岸55選に選ばれたことのある美しい地。
















海と、空は同じ蒼さなのに、こんな理不尽があっていいのか。













上関・田ノ浦入り口

中関・田ノ浦入り口


広島への帰り道上関に寄った。道中、前回田ノ浦ギャザリングでお話してくれた仁平寺住職と再会。
行動を共にし、田ノ浦へ立ち寄った。
工事は行われておらず天下大平。

工事され削られた山にお経を唱えてくれた。

海を見て散策。
天気がいいので最高だった。





帰り道。

ゲート入り口で中電と反対派が睨み合っている。

細い道に中電や協力会社の8台もの車が並び、住職も俺も帰りたいのに帰れない。


俺たちが到着してその直後に中電が現れこの状態になり、かれこれ3時間以上もこの状態だと、監視に来ていた警察官に聞いた。


・・・俺も待って見る。
にらみ合って居るだけ。

ただ遊びに来た俺としては正直全く面白くない。
何の為に俺は待っているのか?


「帰りたいんで道をあけて欲しい。」


警察官におねがいしたら、引き受けてくれた。
「一般の方が通られるので道をあけてください!!」
警察官が親切にも誘導に入ってくれた。


ガン無視の中電。
協力会社の発破業者は警察官の指示に従ってくれて、車のエンジンをかける。
動こうとしたその車の前に立ちはだかり動きを封じる反対派。
再び拮抗し、ギャーギャー騒ぎ出した。




正直、『こいつら馬鹿か』とおもった。




蒼天の空より広く、海より思慮深い俺の心も、いいかげん腹いっぱいだ。



「この状況、一番わかっているのは警察官だけですね。やはり賢い。本当に賢い。さすがは警察官だ!」


思わず、少し大きめの声でぼやいた。


俺のぼやきが聴こえたのか、聴こえていないのか、警察官の指示にしぶしぶ従い、交通整理される。

双方に礼を言って、その場を去った。
その後あの睨み会いがどうなったかは、俺の知るところではない。





本音は反対派だ。
だが、俺は『静観』している。
俺のこの静観するスタイルに賛否両論だ。


だが、俺は『静観』している。
『静観』して初めて見えることもあるからだ。


『傍観』かもしれない。でも『傍観者』より、考え、行動しているつもりだ。

だから、田ノ浦に居る。

だから『静観』といわせてもらいたい。



雨が降っている、今。



争いの中で失われていくもの。


冷静であれば本来働く感情も


争いの中では機能しない。


誰が悪いとか、誰が正義だとかは関係ない。


ただ、争いの中では失っていることにすら気付かない。


その状況が一番恐ろしいのだ。


その恐ろしさと向き合うのが『静観』と想いたい。


おもしろき ことも無き世を おもしろく



雨よ降れ!


そして、地を固めよ!!!