蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

山行記 伯耆大山


中国地方の最高峰、伯耆大山へ。
鳥取や島根東部をツーリング旅する時に必ず麓へ立ち寄りその荘厳な風景を写真に納めていた。
道中のワインディングや非日常的な風景やどこか懐かしい牧歌的な風景に魅了され、何度も立ち寄ったのは懐かしい思い出。
あれから登山を始め、今度は麓から見上げるだけだった伯耆大山の頂を目指す。

前日の夜のうちに移動。車中泊で一晩過ごし夜明けとともに登山を開始。

各種ルートはあるが、一応の山頂とされる弥山を目標に夏山登山道をつかう。
夏山登山道はかなり綺麗に道が整備されており、往来するお客さんも多いようだ。
登山道入り口付近は宿場町となっているうえ、モンベルストアまである始末。
この登山道付近で宿泊・温泉・観光とひとしきりの事が出来る比較的便利な場所だ。

『登山道が綺麗に整備されている』という事で、今の所こういう文言がある登山道を入ってみるとひたすら階段だったりする。例にもれず、ひたすらに階段、階段、階段・・・。
確かに急な坂道を進むより階段の方がどちらかというと安全で簡単に登れるのだが、とても単調。
そして階段を上るというので足腰にかかる負担はかなり増える。

階段が続く登山道は辛いものの朝日が照らす新緑が気持ち良い。
つくづく晴れていてよかった。

伯耆大山の土質のせいなのか、ガレた小石が多く踏み固めるという事が無理なのだろう。
ガレた場所を歩くことに慣れていないので辛さが倍増した。
この1合目から8合目くらいまで続く階段はどちらかというと登山というより修行に近い。

五合目を過ぎる。快晴で日差しは強いものの標高が高い事や、森林帯が日光を遮ってくれるので比較的快適な登山ができる。階段は辛いが涼しさに助けられる。


行者登山道との分岐を越え、6合目へ。


六合目には避難小屋や休憩スポット。その奥には朝日を浴びた大山の北壁がそびえる。

6合目より徐々に木々が低くなり、森林限界を迎える。
ここから見え始める展望は中国地方最高峰ならではだろう。

眼下には日本海が広がる。すぐそばに海が広がり、遠く水平線が見える。
遮るものがなく、目の前に広がる景色は抜群だ。少し霞んでいるのは残念だが、これほどの眺望に巡り合えたのは初めてだ。

山頂付近は保護区に指定され、環境保全のために整備された木道を歩く。

立派な山頂避難小屋を横目に山頂へ。

山頂へ到着!

梅雨が訪れる前の晴れ間。山頂からは大パノラマが広がる。

手前のピークが三角点。奥のピークは伯耆大山最高点『剣が峰』。
切り立ったナイフリッジは崩落が進み40年ほど前から崩落防止と安全のため通行禁止になっている。

山頂でコーヒータイム。

荘厳な風景を望みながら飲むコーヒーは格別。

帰路、避難小屋の中を覗くが営業はしていないようだ。
夏場の繁忙期や休日となると売店があるみたいだが本日はお休み中。
中では登山客が休憩をしているくらいだった。

木道を通り下山を開始。高度感がたまらない。

大山北壁を望む。露出した岩稜が山域の荒々しさを表現している。
ユートピア、三鈷峰。北壁を望むルートを眺めてみると見どころはまだまだありそうだ。

帰路は途中の分岐で曲がり行者登山道を行く。
北壁麓に繋がる道だ。

こちらもずっと階段。
下りの階段も何気につらい。

そして北壁を望むポイントへ。
緑濃い樹林帯を抜けると突然現れる巨大な岸壁。


非日常を味わえる風景だろう。


大神山神社を参拝し下山した。

往路:夏山登山道 2時間30分
復路:行者登山道 1時間50分

北側から始まる夏山登山道以外に東側のユートピア避難小屋を経由する三鈷峰、急峻な槍ヶ峰に足を運ぶルートなど、見どころは多い。
大昔は弥山から最高点剣が峰を抜け三鈷峰へ縦走することができたようだが、山体の崩落が進み今となっては弥山が大山の山頂とされ、剣が峰山頂はそこから眺めるだけとなってしまっている。


周辺は中国地方屈指のスキー場が点在しており、大型駐車場や宿泊施設が多い。
鳥取県の観光スポットとなっていることもあってか周辺施設は充実しており複数日滞在して各ルートを回ってみても面白いだろう。


友人S君は『何度も通ってみたい場所』と言っていたのが良くわかる。
ひとまずは初の伯耆大山登山という事で、一番登山客が多く弥山山頂を目指す夏山登山道をつかったわけだが、高みを目指さず周辺の山域をじっくりと楽しんでみたい。