蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

山行記 伯耆大山 雪中行 ④ 三鈷峰~下宝珠越

『無事、下山するまでが登山。登ることが最終目的ではない。』

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昼食をとり装備を整えて改めて大山北壁を見る。

あの稜線を歩いてここまで来たんだな。

見ていて飽きない。

刻々と変わる雲の流れや、稜線を照らす灯りの変化などただそびえる山でも生きているように変化する。

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ユートピア避難小屋を後にする。

せっかくなので大山山域の頂の一つ三鈷峰へ立ち寄る。

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ここに来ると雪は少なく岩が露出している状況が多くなってきた。

アイゼンを外さず、慎重に岩と雪のミックスを歩く。

岩場は右田ヶ岳で慣れているつもりだったが、右田ヶ岳のそれとは違い脆く弱い。火山で形成された山の独特な岩場に苦戦させられた。ここでも慎重な足運びを要した。

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三鈷峰の尾根から大山北壁を望む。

少し霞んできたか。

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三鈷峰のピークへ到着。

山行後半での岩と雪のミックスはなかなか堪えた。

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山頂での風景をしばし楽しんだ後、折り返して三鈷峰を後にした。

後から1パーティー、三鈷峰の裏の岩場からクライミングしてくるパーティーがあった。

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凄い場所を進むもんだ。こちらが手を振ったら気づいてくれたようで手を振りかえしてくれた。

このわずかなコミュニケーションが楽しい。

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下山路にしている下宝珠越の分岐点。

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雪で覆われた登山道は消え、薄くついたトレースを頼りに北壁急斜面をトラバースする。

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輝く斜面。こんな長いトラバースは初めてだ。

時折落ちてくる雪や石に緊張感が高まる。f:id:ikazuti-d:20190226124953j:plain

無雪期でも上級者向けというのは頷ける。

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ピッケルをしっかりと斜面に立て、足元のアイゼンが食い込んでいる感触を確かめながら慎重にトラバース。

なかなか緊張感のある道だ。

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下宝珠越え登山道も狭い尾根を進む道。

一難去ってまた一難。

全身を使ってアウトドアを体感している感覚がまた楽しい。

尾根の上り下りを繰り返してひたすら道を進む。

雪も緩み始めてツボ足になる時があり、後半での体力消耗が激しい。

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まだまだ先は長い。

気を緩めず慎重な足運びを心がける。

雪がなかったとしても道は狭く険しいのは想像が出来た。

殺風景な景観だが、花咲き乱れる時はどんな感じだろうか。

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三鈷峰の裏側へ来た。荒々しい山体がそびえる。

徐々に高度を下げ、尾根から谷へ。

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元谷の分岐へたどり着き、山域から抜け出した。

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最後は大山神社で山域で遊ばせてもらった事への感謝をした。

久々に歩いた長い道。

急峻な大山核心部を歩けたことは非常にいい経験になったと思う。

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夏山登山道~弥山三角点 2時間40分

弥山三角点~剣ヶ峰 30分

剣ヶ峰~ユートピア避難小屋 40分

ユートピア避難小屋~三鈷峰 20分

三鈷峰~下宝珠越えを進み大山神社 2時間40分

平面移動距離 9.2km

沿線距離10km

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久々に長い距離を歩いた。

何よりも天候に恵まれたことが幸いして、見てみたい風景を見れたように思える。

暖冬で冬らしさを楽しめず、恵まれていない冬だったが、この風景が見れて良かった。

7時間以上山の中を歩いたが、体力的には限界の一歩手前だったように思える。

過酷なラッセル等が入るとかなり厳しかったが、そのような状況にはならなかったのは幸い。

どこをとってもかなり過酷な領域に達する登山道を歩いたように思える。

山に分け入り無事下山するのは、山に分け入るものとしての義務。

天候・装備・体力・今までのトレーニング・・・。

自分なりにトータルで考えて挑んだつもり。

それでも、無事下山したのは『運が良かった』というだけの話。

自然に対しては頭を垂れる謙虚な気持ちで向き合いたい。

またまだ、青い。もっと修行せねば。

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また、遊びに来ます。