蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

あ〜、テステス。ただいまレンズのテスト中。

別にテスト期間中でも、テスト受けるわけでもないんですよ。


いやね。レンズ性能はいかなるものか。
よく雑誌とかであるよね。
等倍鑑賞してレンズの性能がなんたらかんたらいうやつ。
同じ被写体でレンズを変えていろいろテストして、どうこうってやつ。
以前、レンズ比較(バトルロイヤル)なんてしてみれば?と発案され現在自分なりにいかなるものか判断してみようかと想った次第。
まだいろいろと判断する材料がそろっていないけれども・・・。


取り敢えず、解像感の違いが判断できればいいかな?
テスト機体はこんな感じ。
ボディ:NIKON1 V3
一インチサイズ機、画角が狭くなり実際の焦点距離より2.7倍望遠になる。
今回は被写体を月にしていることもありなるべく被写体を大きく引き伸ばしたいため。

対象レンズ:所有する望遠系レンズ。

被写体:月 クレータや月の輪郭を確認すれば比較的レンズの性能の差が見て取れるのではないかと推察。
あまりに複雑なものを被写体にしてもどこをどのように比較すればいいのか混乱を招きそうだし、できるだけシンプルな被写体を選んだつもり。
当然月は常に動いているので、追尾するようにポラリエに機材を設置し撮影する。


①AF-S VR Nikkor 70-300mm F4.5-5.6G IF-ED

現在防湿庫の肥やしとなってしまっているレンズ。名前長い。まるで呪文詠唱のようだ。
フルサイズ対応の望遠系ズームレンズ。
廉価ながら性能は高いと噂高いものの、そもそも望遠域が苦手だったこともあり、前線に姿を現すことは無い。
各評判は比較的良いもの、望遠端で使うと画が甘いという弱点を持っているが、携帯性の良さと価格で相殺されている。
比較的性能の高い手振れ防止機能、オートフォーカス速度、約4倍の望遠倍率は今見返すと使いやすい機体であるかもしれない。


②AF-S VR Nikkor 70-200mm F2.8G

NIKON大三元(最高峰)ズームレンズ3本のうちの一つ。
血反吐を吐く勢いで仕事を頑張り手に入れた、所有するレンズのうちで最も値段が高かったもの。
財布から諭吉大隊を切り離したときの手の震えは今でも覚えている。
つい最近モデルチェンジしてしまったので、これは旧製品となる。
重要な局面では必ず装備している隙のない高性能レンズ。
中望遠で人物を撮影する際には必須のアイテム。基本性能はすこぶる高い。
時折、無限遠に行きつくとAF動作をしない時があり、もう少し様子を見てメンテナンスに出そうかと思案中。


Tokina AT-X400mm F5.6

縁あって入手した望遠レンズ。
お借りしているReflex Nikkor 500mm F8を除き、所有するレンズでは最大の焦点距離
結構古い物のようだが、大切に使用していたのか使用痕跡が無いほど綺麗。
当然フルサイズ対応。月・太陽撮影用レンズ。
望遠系が苦手なうえ、単焦点ということもあり実質天体観測以外に出撃が無い。
AFも対応しているので使い道は他にもありそう。



④Reflex Nikkor 500mm F8

会長からお借りしているミラーレンズ。たぶん俺より年上。
カビだらけで腐っていたものを会長自らの手で分解・磨き上げられ復元。
俺の感覚では骨董品レベルの品物。
AF効かない、絞りは固定ということもあり普段の撮影では表舞台に立たないが、現在、月・太陽撮影の急先鋒として活躍中。


今回は同じ望遠レンズ系でも個性派が揃った。
ズームレンズ、高性能レンズ、単焦点、ミラーレンズ。
ともに一長一短があり、万人受けするレンズは正直ない。
自分がどういう撮影スタイルなのかにより選択するレンズはおのずと変わってくるとは思うが、どういう特性があるのか比較するには面白いラインナップだと想う。


さて、カメラの設定はできるだけレンズの性能を引き出したうえで評価したいこともあり、絞り値はF8で統一。
調整のきかないReflex Nikkor500mm F8に合わせたこともある。絞り値の調整の効くレンズでいえば、一般的にレンズの解像度が最も上がるとされる数値だ。
感度はブレを可能な限り少なくしたいこともありV3の最低感度より2段上げたISO400で統一。
シャッター速度は感度と月の陰影がわかりやすいように映るポイントを探した結果、1/250で統一。
NIKON1 V3 はミラーショックがないので比較的ブレに対する外乱は少ない。
設定の誤りでシャッター幕の動作が入っているが、シャッタースピードから影響はほとんどないであろうと推測。
撮影はもちろんリモコンによる遠隔操作で実施している。
解像度が高いとされる画面中央に月を置き、液晶モニタの拡大表示にてピントを追い込む。
撮影の合間、被写体である月は日周運動と公転により移動してしまうためポラリエに機材を搭載し、月追尾モードで月を追尾させる。

まず、ここでリタイヤレンズが・・・。
AF-S VR Nikkor 70-200mm F2.8Gである。
今回は月の大きさが比較的同じに大きさになるように2倍のテレコンバーターを噛ませ400mmで撮影を実施。
4本のレンズのうち(所有するレンズの中でも)最も重量が重く、V3に取り付けるとえらいバランスが悪い。

自由雲台は5Kgまで耐えれるが、月の高度が高いこともあってとても不安定。
視野に入れるのにプルプルして、あまりにも実用的でないためTKO。
頑張ってみてもよかったが、庭先で一人頑張るのも莫迦らしくなってきたので止めてしまった。
根性なし。
それくらいバランスが悪い。


○評価
当然画角が違うので月の大きさが概ね合うようにトリミング。
その後解像度を600*600ピクセルに統一。スタックするなどの画像処理は一切施さない。
あくまでもレンズの光学評価をしたいため。
当然レンズに付加されている手振れ防止やオートフォーカスはすべて停止。
ピント合わせはモニタの拡大表示で月の輪郭がはっきりしたところにピントを置いている。


①AF-S VR Nikkor 70-300mm F4.5-5.6G IF-ED

まずまずの映り具合。ノートリミングだと月が小さく見応えはないがトリミングして拡大しても申し分なく見れる。
コンパクトな機材の割にはまずまずな写りだろう。
ただ、月の輪郭の右上にうっすらとぼけたような跡が。
月の下側の輪郭やクレーターははっきりしているためピントずれではないようだ。
これがいわゆる、『望遠端で現れる解像度の悪さ』という評判に繋がっている現象だろう。
F8まで絞り込んでも出てくる結果なので、このレンズの性能の限界と思われる。
やはりAFや手振れ補正機能、約4倍のズーム機構などを組み込んでいるせいもあってか、画質そのものに不利な影響が出ている。



Tokina AT-X400mm F5.6

流石は単焦点という所だろうか、しっかりと解像しているように見える。
ただクレーターや月の輪郭部には緑がかったにじみが現れている。
いわゆるパープルフリンジと言われる現象だろう。
全体的に見渡しても、輪郭部には紫系の色味が掛かっているように見える。
このせいでコントラストが落ちている気もしないこともない。
ヒストグラムで比較すれば、データー的に出るのかな?
この設定ではF8まで絞り込んではいるが、もう少し(F11〜F16くらい)絞り込めば若干の改善は見込めそうではある。


④Reflex Nikkor 500mm F8

ミラーによる反射投影なので、レンズを通過する際の光の分解が起こらないこともあってか、すこぶる色味に関しては再現性が高い。もっとも望遠側であることから月の面積当たりの画素数が多いこともあり、やはり後々の処理には有利だろう。
構成上、手振れ補正やAFなどの不要な駆動系光学類が組み込まれていないので光を通すことに関してはすこぶる能力が高いのかもしれない。


○考察
当初の予定通り、『Reflex Nikkor 500mm F8』が圧倒的に星見(月、太陽)にはもってこいだろう。
重量も一位二位を争う軽さだし、余計な機能が付いていないこともあってシンプルだ。
ただし、あくまでも星見にとってであり、以前日中の風景撮影をしたが、使いこなすには相当の訓練が必要になるであろう。

そして残念だったのは、『AF-S VR Nikkor 70-200mm F2.8G』。
ほぼ無理を承知でやってみたのだが、まずポラリエに載せて撮影するとポラリエ本体の雲台用フランジから動きだしてしまい、使い勝手が最悪だったことだ。
光学系がF2.8通しと非常に明るいため、兎に角レンズが大きくそして重い。
今の装備だと星見で表舞台に立つことは無いだろう。
光学系の明るさを利用したボケやシャープな画作りなど、ポートレートでは第一線の性能であるが。


Tokina AT-X400mm F5.6』は望遠系が得意な人であれば、普段使いに丁度良いかもしれない。
AFもNikonD4やD300に搭載すれば作動するので、航空祭等で試してみたい。
この単焦点望遠レンズを使ってみて、では超高額の400mmF2.8とか500mmF4とかどれほどの解像をするのかは気になるところ。まぁ、普通に車が買える値段だが・・・。


『AF-S VR Nikkor 70-300mm F4.5-5.6G IF-ED』は防湿庫の肥やしだったが、V3に搭載した時には手振れ補正やAFなどレンズの全ての機能が使え、換算800mmF5.6というレンズになる。
結果として、変なボヤケが出てかっちりと解像しないこともなんとなく確認できたが、価格的にこんなもんなんでしょうとある意味割り切れる。
今回普段使いでV3と最も相性が良いのはこのレンズで、再び1軍に帰り咲き出来そうな感がある。



こうやって一つの被写体、一緒の設定で撮影してみるとそれなりに明確な違いが出て来るな。
結構感覚的なところに依存している分類ではあるのだけれども、新製品を買ってその日のうちにレビュー、『光学性能が云々』だの、『コントラストが云々』などはっきり言ってまともなレビューではなく、『感覚的な良し悪し』程度という事だろう。
レンズも煙草や酒と同じ趣向品(と半分俺は想っている)なので、ぼんやりとした全体的な話から自分なりに判断していくしかないし、貴方にベストであって、私にはベストではないという所は多分にある。
『このレンズ、カメラはまともな画を出さない』なんて乱暴な言い方をする人がいるが、言い換えれば『そのレンズ、カメラをまともに使いこなせていますか?』という乱暴な問いかけも出来る。


レンズテストを通して、なかなか違いが出るものだなと如実に感じることが出来たな。
普段のレンズ選択はカタログスペック上の数値と、付加されている機能しか見ていないこともあり光学系の良し悪しなんて正直使ってみないと解らない点が多い。
使ってみると言っても、今回のテストの様な評価方法でやっとわかるので、雑誌などもやたらとこのような評価をしたがるのはなんとなく理解できる。
ただ、雑誌評価を鵜呑みにしてしまうのも恐ろしいもので、まずは自分がどういうスタイルの撮影なのかという所がないと機材ばっかり増えて使わない、『防湿庫の肥やし』の運命が待ち受けていることになるであろう。



機材は使ってナンボ。
まぁ、そんなところか。