蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

名刀

仕事の直属の上司に、ある仕事をかなり個人的だが頼まれた。
その方が、愛用しているナイフのケースを調整してくれとの依頼だった。ナイフをケースに収めた時、どうも納まりが悪いようでちょっとした事でナイフが抜けるそうだ。
ケース本体はかなり分厚い牛革で、ナイフを引っ掛ける部分の革が薄く、少し伸びているようであった。
ナイフを拝見させてもらったが、刀身には銘が打ってあり、さらにその上司の名前まで打ってあった。
刃には波紋が見えることから、職人さんの仕事であるのが一目瞭然であった。見事な一品。
しかし、そのナイフを納めるケースが微妙だ。
分厚い革を使用する為かは知らないが、どう見ても機械をつかったミシン縫い。機械が走った後が無残にも残っている。量産品の跡が…。
うーむ。
とりあえず、要望通り修正。
修正に伴い不要になったハトメをえぐり取り、ワンポイントに真っ赤なコンチョをサービス。
かなり余計なお世話。
刀身は和風なのに鞘は洋風。

職人技の刀身が納まる鞘も職人技。
気持ちはそんな感じ。