蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

回顧録 風の祭

約束の地に向けて車を走らせていた。
金曜日に仕事を終わらせ、そのまま車に飛び乗って走り出していた。
夜、真っ暗な時間帯に着いた。
細かい時間なんかに縛られたくない俺は、時計はしていない。
だから何時についたとかは全く解らない。
只、夜についた。
知り合いのテントがあったので挨拶し、ぶらぶらとよさそうな場所を探し、ランタンに火をつけ、タープを立てた。
暗闇の中テントを立てるのは初めてだった。
そのタープの下に小さな一人用のテントを立てた。
虹の岬から採用した完全無欠のフォーメーションだ。

祭りの前日、静かに酒でも飲んでゆっくり寝た。


朝起きて、カメラを持ってぶらぶら、NATTY LIFEの皆、おかちゃん、さらぽ、知り合いと挨拶を交わし、初日が始まる。
徐々に人が集まり、会場が作られる。


早速ストークボムのメンバーに発見され、絡まれる。
それと同時に大陸堂の3兄弟とモンメ隊に発見され、絡まれる。
俺のテントは、いつの間にか、子供達が集まる、まるで保育所のようになっていた。
「大ちゃん腹減った!」
「カメさん(カメラマンさんの略)なんかない?」
ダダチャイルドに囲まれて夕食…
横を過ぎるお父さん方は、笑いながら
「盛り上がってるねぇ…よろしく!」
オイオイ
「一杯やりに来たよ!」
おかちゃん、和尚さん。
やっと大人が来た。
まるで、保育園兼、タダ酒振舞う飲み屋さん。
お互いの食材やお酒をシェアして、子供も大人も焚き火を囲ってわいわいやってる。
俺のテントの中でままごとやってる少女。
焚き火台で火をおこして遊んでいる少年。
お酒飲んで酔っ払って馬鹿話してる大人。
ライブが始まればカメラを持って聴いて、踊って。
のどが渇いたらクーラーボックスのビールでも飲んで。
腹が減ったら火を焚いて。


そんな生活。


ふと、手元に孵化したばかりのアブラゼミ