蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

ソロセット 焚


色々と長い間思案して購入した、スノーピーク『ソロセット 焚』。
購入から2か月ほど使用してみた印象を書き残しておこうと想う。

長らく同社の『チタントレックコンボ』を使っていて、チタンならではの頑丈さと軽量さ、スタッキング性もあって、アウトドアシーンではいつも活躍をしていた。

個人的に、登山アイテムをもう少しコンパクトにまとめたいこともあって、一回り小さい『ソロセット焚』を購入した。

メインで使っている『チタントレック900』と比べると直径が少し小さくなり、それに伴ってスタッキングできる燃料缶がOD缶の110になってしまった。
ソロセット焚はアルミ製であり、チタントレック900の175gと比べるとその本体重量は270gと重い。
スタッキングできる燃料が250か110かの違いで、バーナーを含めた総合的な重量差はあまりなく、より軽量を望むのならば、同じソロセットでもチタン製で出来ている『極』のほうが重量面ではやはり有利だ。

個人的にはアルミ製の方が熱伝導率が高く、色々な調理に向いているという事と、カップがあることでマグカップを装備から外せること、直径自体が小さくなるので収納がしやすいという所を重量よりも優先した結果、このソロセット焚に行き着いた。
正直チタントレックのフライパン兼蓋は焦げ付いたり持ち手が外れて中身をこぼしてしまったりと使い勝手が非常に悪かった。


2016年のモデルチェンジ以降、トレック900にスタッキングは出来ないという話で改悪だと噂だったが、蓋のシリコンのつまみが干渉して若干トレック側の蓋が浮くものの、きちんと収まってくれるのでスタッキングには問題が無い。
ただ、メーカーの方はスタッキングできないという事だったのでこれは自己責任になろう。

また、熱伝導率が高いアルミ製という事で、こんな小さなクッカーでも飯盒炊飯が出来るのが面白い。

一合を水に30分ほど浸す。

米と水の割合は1:1.3。米150gに対し約200gの水を入れる。
ポット側にメモリが無く、かわりにカップ側にメモリがついているのでそれを参考にする。

3分ほど強火をかける。
この場合の強火はポットの淵を越えない程度の火力で十分だ。

沸騰してくるとカタカタと吹き零れて来るので、圧力をかける意味も込め、水を入れたカップを重しに使う。

吹き零れてきはじめたら、火を弱火にする。

この状態で15分ほど。

ちりちりと音がし始めたら火を止めて10分ほど蒸らし、完成。

蒸らしている間に、カップ側を使ってもう一品汁物でも作れる。

ポット容量900ml、カップは570ml。
実はトレック900とポットの容量は変わらないものの、どちらかと言うとカップ側の使い勝手が良さそうなのが利点だろう。
この組み合わせをソロで使う分には十分な仕様だと想う。


唯一の難点とすれば、持ち手の形状。
小さいこともあってか加熱していると持ち手部分がかなり熱くなり、素手で持てなくなってしまう。ここら辺はもう少しメーカーに考えてもらいたかった点だ。


チタントレック900とくらべ、収納できる燃料が小さかったり、材質的に傷がつきやすかったりいくつかのデメリットがあるがコンパクトにする点で及第点だろう。
基本的に湯を沸かしたり汁物ばかりなのが実情だったので、より軽量な『ソロセット極』とギリギリまで悩んだ。
正直このポットで焦げ付きやすい炒め物をやるかと言われるとやらないだろうし・・・。
お湯を沸かすだけという使い方、より軽量、頑丈と機能を限定していくなら『ソロセット極』が最良の選択肢だろう。
燃料事情でOD缶を500、250と使っていて、とうとう110までそろえることになってしまったのが少し痛い所。細かい話だが、単価計算したところ110の燃料は割高だ。その上燃料の持ちは250と比べ半分程度なので、使用頻度や燃料消費量を考えると、大きな燃料缶を持って行った方が有利なのだが、ここも重量との相談になる。

やっぱりコストパフォーマンスだけ考えるとCB缶(カセットコンロ用の燃料缶)が一番すぐれているんだよなぁ・・。



個人的にチタントレック900と組み合わせたときにこの『ソロセット焚』がコンパクトな炊飯器という立ち位置だったので、ひとまず納得の選択にしている。
とはいってもその局面が訪れるのか否か・・・。

取り敢えずこの手の金物は一生モノなので、大切に使っていこうと想う。
今はピカピカだが、使い込んでいくうちに味がでてカッコ良くなるんじゃないかな?


追記:2022年2月22日
約4年ほどの使用だが、まだまだ現役で使っている。ここ数年でもっとも持ち出した道具の一つだ。
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他の機材や地面との接触で傷だらけになって、そこそこ玄人感が出てきた。
基本的にバーナーなどの機器で使用する為、炭火や焚火で調理をしたように煤だらけの真っ黒にしてしまうことは無い。
細かについた傷が使用頻度の多さを物語ってくれている。

欠点だった持ち手の小ささは、ベルモントのシリコンチューブを取り付けて、触っても熱くないように改良した。
購入以来、基本的に登山がメインのアウトドアスタイルの為、結局のところ料理は袋ラーメンばかりで炊飯や炒め物等のこだわった料理をすることは無かった。
山に入ると時間も水も限られているので短時間で調理や食事が済むものばかり。
カップの方をフライパン代わりに使うこともあったが、基本的に汁物ばかりだった。
便利なのはカップの方で、ポットで汁物料理、カップ側で湯を沸かしてコーヒーを淹れる等、用途を分けて使えることが一番便利だった。
汚れたポットで白湯をつくってコーヒーを淹れるというのがちょっと嫌だったのもある。
所有するチタントレック900と比べると僅かに重量がかさむが、出番はソロセットが今の所一番多い。

残念ながら追記した2022年時点でソロセット焚は廃盤になってしまい、ソロセットチタンのみが現行品で販売されている。
ぶっちゃけ今の俺のようにお湯を沸かせれば十分という人からすれば、アルミ製より強度・軽さで強みのあるチタン製が適しているだろう。
登山で使うためザックに放り込んだり岩の上に置いたりするような使い方の中で、大きな凹みや傷は無いものの、小さな傷が目立ってしまう。(それも使用感と割り切ってはいる。)
売れ行きから判断して今後も販売の継続をするのならばソロセットチタンの方に軍配が上がったのだ。
飯盒炊飯に関しても、最近はトランギア製のメスティンが一世を風靡したこともあり、飯盒炊飯する為にわざわざソロセットを選択することも無いだろう。


ソロセット購入後、こっそり買い増しした山フライパンやパーソナルアルミクッカーと比べると炒め物や飯盒はそちらに任せることが出来るので、今となってはチタン製の方が良かったように想える。
そんなことを考えても今更なので、ソロセット焚はこのまま大切に一軍として現役で使うつもりだ。
単独登山においてこのコンパクトさは所有する他のクッカーには無い何よりもの強みだった。

ほとんど使う事が無くなったチタントレックだが、たまにはローテーションして使う方が靴と同じで優しいのかもしれない。
この4年でろくにキャンプをしない癖に色々とクッカーを買い漁っているので、しっかりと使い込まねばなぁ・・・。