県内でも屈指の展望といわれる十種ヶ峰。
山口と島根の県境にそびえ、その姿から『長門富士』『山口のマッターホルン』と言われている。
特に山頂からの展望の良さに加え、4月下旬から5月上旬にかけて咲くヤマシャクヤクの群生地であり時期によっては訪れる人も多く、山口県下でも名峰と呼ばれている。
残念ながらヤマシャクヤクの開花時期からはだいぶ過ぎてしまったが、本格的な梅雨入り前の貴重な晴れ間という事もあり、どこか展望の良い山を登っておこうと十種ヶ峰の山頂を目指した。
ルートは複数あるようで、中でもヤマシャクヤク群生地を抜けるルートと神角コースが周回できるコースという事もありこのルートを選択した。
ヤマシャクヤクコースは数年前の豪雨災害でルートの一部が崩落。復旧はなされてはいるようだが、登頂までの難易度が高いのか、下山に使うべからずという注意書きがあったので、まずはヤマシャクヤクルートからの登頂を目指す。神角八幡宮境内にある駐車場がスタート地点だ。
立派なしだれ桜を抜ける。春になると見応えがありそうだ。
面白い撮影スポットを見つけたぞ。
お社に挨拶し、イノシシよけの柵を越えて林道を進む。
新緑がまぶしい。
樹林帯の谷間を抜けることもあってか、幾分か涼しい。
地図上ではかなり等高線が詰まっており、その地図が示すようにかなりきつい傾斜を長く歩くことになった。
いつの間にか林道も終わり本格的な登山道と移り変わる。
一部崩落した谷のガレ場を進むルートもあり、ハイシーズンに登山客が入り乱れると危険が伴いそうだ。
下山ルートに使うなという理由はなんとなくわかる。
そしてふと足元を見ると両サイドにはロープが張られ綺麗な道が現われた。
両サイドはヤマシャクヤクの群生地の様だ。
花の見ごろはとうに過ぎてしまっており、実がたくさんなっていた。
木漏れ日がまるでスポットライトの様。
この群生地結構な急登。そして長い。
慎重に足を進める。
谷を抜け尾根に取りつく。徐々に木々が薄れ展望が良くなってくる。
目の前には山頂が見えた。
あともう少し。
ようやっと山頂へ到着。珍しい一等三角点だ。
結構立派な周辺山域を示す看板があるくせに、山頂の看板がないのが少し残念。
山頂は360度見渡せる大パノラマ。
天候も良いので遠くの山まで見渡せる。
山頂より少し下った広場でコーヒータイム。
平日という事と、ハイシーズンを過ぎたこともあって誰一人いない。
360度の展望を独り占めにし、コーヒーを味わう。
広場から山頂を望む。中央のオブジェは周辺山域を示す看板。
写真だと大きな感じがするが、人のコシ程度の大きさ。
やっぱり山頂看板は在った方がしっくりくるんだけどなぁ。
そして熊笹の尾根。
十種ヶ峰に関連する写真で必ず出てくる構図だ。
復路は神角(こうづの)コースで下山。
こちらは緩やかなコースだ。
ヤマシャクヤクの時期以外ならば、こちらのコースの方が山頂まで取りつき易いだろう。
高度を下げると徐々に樹林帯になる。
木漏れ日、雨上りの涼しい山道をゆっくり降りる。
森林浴が気持ちいい。
そして下山。下山した地点は砂防ダムが並ぶ場所。
ここから入ろうと思ったら標識がないのでどこに登山道があるかわかりづらいかもしれない。
往路:ヤマシャクヤクコース 1時間12分
復路:神角コース 56分
ヤマシャクヤクコースは谷のガレ場があったり、急登が長く続いたりで以外にも体力の消耗が激しいルート。ヤマシャクヤクの群生地はとても広く、開花時期に巡り合えたならかなり見応えがありそう。一面花畑が見れるのならこのコースは登りがいがありそうだが、シーズンをはずすと単に急登なだけになってしまった。
北のスキー場からの登山道もあるようだが、一部車道を使うことになるので面白みはなさそうな感じではある。
神角コースに関してはよく道が踏まれ、難所もなくハイキングルートとしては一番最適だろう。
途中お社があるルートと直登ルートに分かれているようだが、下山は直登を下ってきてしまったためお社を拝めていない。次回来るときは拝んでおきたいものだ。
とりあえず山の花の時期は把握しているが、その時期に登れないので旬を抑えられていない感がある。
来年は時期を押さえて登山してみたいもんだ。
十種ヶ峰前景。確かに・・・。
『長門富士』『山口のマッターホルン』とはよく言ったもんだ。