音和の時は終焉を迎え、回帰の時へと繋がる。
会場中の灯りは消され、自然のあるがままの姿へ回帰する。
其処に在るのは、会場の中心に焚かれた焔と、雲の切れ目から時折見える星の瞬き。
月はゆっくりと天へと昇り、世界を燈す。
木魂する不思議な音色。
どこか懐かしい、初めて聞く不思議な音色が会場を波紋の様に包み込む。
其れは美しく、穏やかに炎の中を舞い、この限定された『とも人のおまつり』という世界を、ゆっくりと静かに、しかしながら確実に魅了していく。
『心に染み入る美しさ』というのがこういう事かと肌で、空気で感じた。
何にも頼らず、何も持たず、何も身に付けず。
ただ『在る』だけで会場中の全ての観客を釘付けにする。
そう想うだけで、肌が粟立った。
神話の世界。
日本最古の踊り子、芸能の神『アメノウズメ』がよぎった。
只、望めるのならば。
パフォーマーとして望めるのならば、共に演じてみたい。
写真家として望めるのであれば、其の瞬間を切り撮りたい。
この相反する願いを同時に叶えることはできまい。
この夜は本当に美しかった。
この空間に辿り着けた事に感謝したい。
Performer『牧瀬茜』
ブログ『続・週刊牧瀬』
http://blog.livedoor.jp/syukanmakise/
*ご本人の許可を得て撮影・ブログアップしております。