蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

旧式

カメラを手にするようになってどれくらい立つだろうか・・・。フィルムカメラを経験したことがない世代。『デジカメ世代』と言われる俺が初めてカメラを手にしたのは約10年前だ。
当時最新型といわれたコンパクトデジカメの中級機をボーナスで買ったのが最初の記憶。
当時のスペックを比べてみると、ケータイのカメラ以下の性能だ。


当時はデジカメが黎明期を終え、これから一般大衆向けへと大きく進化していく最中での事。


その数年後に、デジタル一眼レフと言う当時最新の技術を結集したカメラを構え、本格的に写真の世界へとのめりこんでいくことになる。

今では贅沢にも主力で使っている高性能デジタル一眼レフ、ダイビング用や、日常撮影用、フィルムカメラなど数台のカメラを所有している。



その中のカメラの一つは、地元の親友から破格の値段で手に入れたカメラがある。


NIKOND40といわれるカメラだ。

俺が一眼レフを持って写真を撮影している姿を見て影響を受けたのか、自らが勤める電気量販店で売れ残ったものを破格の値段で購入していた。


数ヶ月もしないうちに飽きてしまったのか、あっさりと使わず、彼の自宅で埃に埋もれていたそうだ。
当時、サブ機としていいカメラは無いかと探していた俺は、
「いらないなら安くで売ってよ」
と冗談交じりに問い合わせてみると、あっさりと売ってくれた。
それも、破格の値段でだ。破格の値段で買ったものを、更に破格の値段で売ってもらった。
受け渡しの際には化粧箱までついており、説明書は封の切られていないビニール袋に入っている始末。全く新品同様だったのには驚きを隠せなかった。
生意気にも純正のカメラケースまで付いてきた。



エントリーモデルと言われる言わば初心者入門向け一眼レフ。
当時、その性能の高さと使いやすさはNIKONの名機といわれていた程のモデルだ。
性能は申し分なく、一時は主力機を使うことなく、このD40を使用することが多いときがあった。
その使いやすさから写真部の顧問をしていた際にカメラを所有していない部員に貸し出していたりしたこともあった。

しかし、その後、主力で使っていたカメラの最新型への買い替え、小型高性能のミラーレス一眼レフの登場と、その圧倒的な性能差により活躍の場を次第に追いやられて行くこととなった。



現在では旧式となってしまい、日の目を見ることがめっきり減ってきたとは言え安易に売ることは考えなかった。
「親友から貰った」ということが大きいせいか、どうしても売りに出すことが出来ず、どうせ売ったところで二束三文にもならないなら保管しようと現在も大切に保管している。





俺が持つカメラの中で唯一の銀色のボディ。


旧式となった今でも、ギラギラと輝いている。