誘っていた親友は仕事の関係で、遅れて到着する。
遅れて、というか俺が早いだけか。
京都にたどり着いた俺はガイドブックを頼りに行動を開始する。
無計画で飛び出して、やってきた。
何をしたいとか、何かを探したいとか、一切頭になく其処に居た。
とりあえず、ガイドブックをぱらぱらとめくり、ビジュアル的に凄そうなところへ向かった。
伏見稲荷大社。
カメラを片手に、稲荷大社が鎮座する山を登っていく。
ふらふらと
登っていく
昇っていく
行けども行けども鳥居が連なる。
自分がどれだけ歩いたのか、どれだけ時間が経過したのかが解らない。最初の方は観光客は多かったが、平日と言うこともあってか進むにつれて人が居なくなる。
聞こえるのは冷たい風が吹き抜ける音とカラスの声。
木陰のせいか、晴れているのに薄暗い。
すっと、目の前をカラスが通り抜ける。
立ち止まった。ふと振り返った。
カラスがまた、目の前を通り抜ける。
聞こえるのは冷たい風が吹き抜ける音とカラスの声。
進む。進む。此処は無間回廊。
どうやら、俺は迷ったようだ。
ずっと一本道なのに。
行けども行けども鳥居が連なる。
自分がどれだけ歩いたのか、どれだけ時間が経過したのかが解らない。
トリップ。ボーン。