蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

山行記 莇ヶ岳

周天の雄・ウラカン氏より『石鎚山に登るのであれば、莇(あざみ)ヶ岳の鎖場にて修行すべし。』と助言を頂いた。まずは初心者向きの山を攻略中だが、鎖場とはどんなものかという事と、物語序盤に取り敢えず出て来るボスキャラという位置づけで登頂に臨む。


まずは登山口手前にある石鎚神社にて安全と登頂成功を祈願。

さらに奥に進み駐車場に到着。
平日という事もあってか、本日この山には俺一人だけのようだ。

駐車場からすぐに登山道への道が開けている。ガイドブックに載っているいわゆるノーマルルートを進む。
今回から服装を新規導入。さすがにタンクトップだけでは汗が乾いた時に寒いのと、何よりも茂みを突き進むので安全性を考慮してバーゲンセールの登山用のジャケット、そしてアンダーウェアは『アンダーアーマー』なるがっちり体にフィットするスポーツ用下着を装備。なんだか筋肉が引き締まる感じ・・・。コンプレッションウェアという種類のものでなにやら運動機能支援効果があるようだ。
ズボンは岩国基地周辺で買った軍パン。

結構きつい坂を淡々と登る。植林帯をジグザグに進んだ後、笹の道に入る。
道はきちんと整備されており、坂は急なれど道中は比較的スムーズだ。
雨上がりという事もあってかとても涼しい。


40分ほど歩いたところで分岐が現れる。
鎖場へ行くか、まき道を使って鎖場を回避するか・・・。
今回の目標は鎖場の踏破。
躊躇なく鎖場ルートを選択。
2の鎖、3の鎖とか・・・。まるでロールプレイングゲームみたい。

そして・・・現れましたよ。2の鎖。
結構ごつい鎖が岩の頂上から垂れ下がってきている。そして頂上は見えない。
若干オーバーハング気味。

んで、躊躇なく登ります。3点支持で慎重に登れば、結構あっという間。

鎖の下の方は全く見えない。まぁ、ほぼ垂直だしね。

鎖を上がったところには明王様が鎮座されておられる。
そして上へ進むと・・・。

あれ?山頂??
ありゃりゃ。どうやら2の鎖を越えて3の鎖がある訳じゃないんだな。
目標は3の鎖場までの踏破。よって山頂を見た後すぐさままき道を使い分岐点まで下山。

2の鎖を横目に、深い笹の小道を進むと・・・・。

ボス登場!!『3の鎖』!!

流石は3の鎖。鎖が2連だよ。しかも超絶壁&先が見えない。
ちょっと尻込みしますなぁ。
しかし、とっくに体はアクティブモード。そしてアンダーアーマーが適度に体を締め付け、キリキリと上半身をサポートしてくれている!(様な気がする。)
俺の体は戦闘モードだ!!


兎に角、行ってみないと解らないので、

登頂開始。(自撮り)こうやって見ると迷彩服って森に入るとかなり溶け込むなぁ。


・・・・長。そして超絶壁。やばい。体力ゲージが・・・。
意外というか当然、上半身の筋肉を使うので、すぐ息が切れる。
岩壁にしがみついたまま細かく休憩を入れるが、しがみつくだけでも体力を消費。
流石はボス戦・・・これくらいで無くてはっ!!
こんな中途半端なところで諦めて下に降りれるわけもなく、慎重に体力温存を掛けながら鎖場をよじ登る。
(中間地点で脱出ルートはあったな。)

上を見上げると青空が見えてきた!
ゴールまであと一息!!


3の鎖突破成功!!思わず『やったーー!!』って独り叫んでしまった。



取り敢えず鎖場を抜けたので、山頂で荷物をおろし、ゆっくりする。
今回からザックも違うタイプに変更。実は昔嫁さんにキャンプ用のザックが欲しいと言われて、誕生日にプレゼントしたものだけど、数回使った程度で押入れに眠っていたので勝手に借り上げた。
今まで使っていたのは通勤用だしね。

昼時だけれども、空腹感は無く下山までもちそうだったので、山頂からの風景を楽しみながらゆっくりとしていた。


一息ついた後、下山に向かう。
ルートはブナの尾根を下っていくルートを選択し、ゆっくりと下山。


木陰から差し込む眩しい光。
吹き抜ける風が笹を揺らし、頬を撫でていく。
登りと比べ体が熱くならないので、心地よいテンポで山道を進むことが出来る。
木陰からは街では聞いたことのないような鳥の声。



そして・・・。




「・・・・!」



直感が足を止める。




『グルルルルルルルゥ・・ゴフッ、ゴフッ・・・』




!!・・・居る!!ガサゴソとこの5メートル圏内に!!
姿は見えないが、笹が揺れる音が間近に聞こえる。近い。12時方向。



『グルルルルルゥゥゥ・・・』

聞き覚えがあるぜぇ。この声。
徳山動物園のある檻の前だ。



あるぅ〜日ぃ〜。森の中ぁ〜。

あるある。あるよ〜。よくある。もうね、お決まりパターン。
ああそう来た?ふーんって感じ。つまりこれよ。



『ボス戦の後に控えているさらに強いボス戦。』



でもさ、山行記の初期段階でこのシチュエーションはちょっと早すぎんじゃない?


しかもよりによって進行方向かい。めんどくせぇなぁ・・・。


左肩に装着していたビクトリノックスのブレードを起こし、常駐アイテム、クマ鈴をいつもより大きめに鳴らす。
背を向けるのも性に合わんし、いかんせん下山中だ。
下山途中で登りに転換する阿呆が何処にいる。
どけどけ。
クマ鈴を鳴らしながら前へ突き進む。
会戦したらビクトリノックスのブレードじゃ歯が立たんだろうな。
鼻っ柱に一撃かませばこけおどしくらいにはなるだろう。
個別的自衛権の行使だ。この野郎。


前進すると、相手もこちらに気付いたのか声と足音が離れていく様子があった。


取り敢えず、お互いの間合いに入る前に回避できて良かったな。
一応距離を置くため、速足で山道を進む。



ブナの雑木林のジグザグ道を下り、無事下山。


なかなか面白い登山ルート。
紅葉時期とかは面白いかもしれない。
帰りは少し寄り道して柚木慈生温泉で体をほぐしてきた。

ここの湯は山口県で一番だと想っている。



往路:ノーマルルート 58分
復路:ブナの尾根ルート 47分