2004年。
社会人になり、3年が経っていた。
疲れて眠る。
しかし、それなりに収入があり、それなりに生活は安定していた。
ふと、そんな中、東京で夢破れ、Uターンしてきた親友が一言。
「少し遠くへ遊びに行こう」
そう言って、向かった先は熊本だった。
いままで、そんなに遠くへ出かけることの無かった俺は言われるがまま同行した。
熊本は、阿蘇。
言葉には出来ない、なんだか解らないが、不思議な感覚を覚えた。
それをきっかけに、いろいろと旅することが多くなった。
周りの友人みたいに、海外に出て旅するということは無かったが、仕事の合間に各地を回っていた。
その中でも、やはり足を運ぶ機会が多かったのが熊本と言う土地だった。
毎年のように、年始の初日の出を拝みに行っていた。
バイクを購入して初めてロングツーリングを行ったのも熊本だ。
なんだろう?
この感覚は。
時間に追われ、疲れて眠るだけの日常から開放してくれたのは、この土地だった。
初めて、テントを買って旅に出たのもこの土地だった。
多くの仲間と出逢ったのは、熊本・阿蘇で開催された「虹の岬祭」だ。
キーとなる場所だった。
少しずつ
扉を開放する。
実家に帰って、親父との会話の中、爺さんの生まれが熊本であるというのを知った。
俺の爺さんは物心ついたときから施設に入っており、とりわけ縁深い関係ではなかった。
ガキの俺はその人のことを何も知ることなく、よくわからないまま爺さんは一人逝ってしまった。
あれから10年以上経った。
そうか、
俺のRootsは熊本に在ったのか。
詳しくは、聞かなかった。
今の俺が在る事で、精一杯だから。
でも、あの地で不思議な感覚を覚えたのは、
少なからず、其処に俺のRootsが在ったのだ。
陽が昇る