外は、雨。
牧場に降る五月の雨は冷たく、でも優しかった。
牧場に降る雨は土を柔らかくし、まるでスポンジの上に立っているような感覚だった。
それでもステージではミュージシャンがギターを掻き鳴らし、観客は雨の中踊っていた。
ロックが鳴り響く。
色とりどりにレインウェアに身を包み、泥だらけの牧場で踊る。
踊っていると一升瓶が廻ってくる。
ラッパ飲みで呑んで隣の奴に渡す。
別の方向から一升瓶が廻ってくる。
またラッパ飲みで呑んで隣で踊っている奴に渡す。
土砂降りの中、ずぶ濡れになって、何やってるんだろ?
大きく息を吸って
大きな声をだして
大好きな歌を歌えば
大丈夫。
(ギターパンダ:うたをうたえば より)
ロックンロールのメロディーが俺の心に突き刺さる。
どんより曇った空でも Don't worry
俺のメッセージ お前に届いたかな?
どんより曇った空でも Don't worry
根拠も無いのに失礼だったかな?
(ギターパンダ:引き潮 より)
ロックンロールのメッセージが俺の心に突き刺さる。
思わず泣いてしまった。
無意味に背負い込んでいたものが、雨で流される。
そんな感覚。
次第に空は晴れてゆく。
本日のトリ。
この虹の岬祭りの主催者・ダダチャイルド ろくろうさん
荷物を小さくまとめて 小船にのっけて
いく先は 子供の笑う方へ
迷いはしない 楽しい旅さ
忘れはしない 旅の始まりさ
戻れはしない 旅の始まりさ
もう止められない 旅の始まりさ
(ダダチャイルド:宇宙旅行 より)
凄いテンションだった。
後になって、山口県で噂になるほど俺は凄いテンションだった。
そして、ライブが終わったら、
照明が落とされたステージの前に灯り・・・炎がみえる。
太鼓の音が鳴り響く。
福岡『楽焔』のリョウを筆頭に10数名のファイヤーパフォーマーが集まってのファイヤーイベント。
遊んでくれたTAKEZOOさん、リョウ、かっこええわ。
トリップ、ボーン。
「明日はもう帰らないとな」
世話になった隣の万屋(よろずや)さんに朝飯におかゆを恵んでもらい。
一緒に遊んでくれた皆に挨拶して、そして皆の優しさに触れて。
5日間履いていたジーンズはボロボロ。ボロは着ていても、こころは錦だった。
ひとり、山を降りた。
こころにはダダチャイルドの『宇宙旅行』が流れていた。