蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

山行記 十方山


広島の山奥にそびえる十方山へ。
登山を始めた当初に長距離登山をトライした場所だ。
今回は『周南山岳会』が主催する月例山行で一般参加の募集があったのでそれに応募しての参加となった。
山頂で偶然職場の人と出逢って下山のみを共に行動することが一度あっただけで、県外遠征も雪山も基本単独での登山が主であった。
友人がこの周南山岳会に所属している事や、個人的に想うことがあってこの募集に手を挙げたのだ。

周南市にある運動公園で夜明け前に集合。三台の車に乗り合わせて、十方山麓へ向かう。
車の中では会のメンバーと一般参加者が混在されていたのでお互い自己紹介や登山についてなど共通の話題で華を咲かすことができ、2時間近い道中もあっという間の時間だった。
隣の席に座ったおじさんは、以前深入山で友人と偶然の再会を果たしたときに、山岳会メンバーとして一緒にいた人だった。
その時の記事はこちら↓
【山行記 深入山 雪中行】

会のメンバー12名、一般参加者が俺も含めて7名と想ったより大所帯での山行だ。
登山開始前に準備体操をみんなで行う。
車で乗り合わせた人で一つの班を作り、班ごとに隊列を入れ替えての山行。

凄い行列。
いつもは人気のない山を一人歩くことが多いのだが、いきなり大所帯での移動となり少し戸惑う。
俺も含め初心者が多いこともあってか、かなりペースはゆっくりで、ある意味落ち着いて山登りが出来たように思える。
まずは瀬戸の滝を見物。ここら辺ではなかなか立派な滝だと想う。

ウォーミングアップを終え本格的に山道を進む。

ちょうど同じ班の先頭を歩く方がこの会の会長さんであった。
何処かでお見かけしたことがあるなぁと想ったら、NHKの『情報維新』と言う番組の登山コーナーで講師役をやられていた方だった。
道中での歩き方や山についてのお話は非常に得るものが多かった。

俺の勤務先についての話になったところで会長さんが
『その会社に勤めている人のところに嫁いだ若い会員が居てねぇ。四国の人で、なんでも旦那さんと槍ヶ岳で出逢って結婚したのよ。最近は子作りを始めるとか何とかで退会しちゃったんだけどね。なんかガイドを仕事でやっている人で、活発な娘さんだったよ』
と言う話題。

ええ・・・心当たりあります。
その旦那さん、同期入社の10年来の友人ですがな。奥さんの名前もドンピシャ。
忘れもしない。
お祝いのつもりでカメラ片手に結婚式の写真を撮ろうと想ったら、実は奥さんの実家が写真館。
厳格な『職人』オーラを放つお父さんの静かなプレッシャーに潰されそうになった記憶は今でも鮮明である。後にも先にもあれ程の圧力を感じた撮影はない。
あの忘れられない思い出。
そのときの記事はこちらから↓
【乾杯】

『活発な娘だったからてっきり農家の子だと想ったよ。』
『新婚旅行に行くって言って、二人して大きなザックにテントを詰めて出発する後姿を見送ったッス。旦那さんとついこの間、街で逢ったんですけど先月に女の子が無事生まれたみたいですよ。』

お互い、世の中の狭さを実感した。

十方山は山頂までの距離は長い。そして標高差も800mあるのでかなり登り応えがある。
普段ならいちいち立ち止まって撮影をするのであるが、あまりペースを乱すのも面白くないので、控えめに撮りながらひたすら山頂を目指す。
ペースも落ち着いて登れるペースだったし、周りには上級者もいることもあり、道中はずっと色々な話をしながら登ることが出来たので、淡々と登るよりも時間が短く感じた。
ただ、残念だったことは、天気が悪かったことだ。

雨に打たれることは無かったが、終始霧に包まれていよいよ山頂では雲の中となっていた。


山頂へ到着。そして昼食タイムだ。
お腹が空いていたので、写真を一枚もとってないや。
山頂は気温が低かったが、幸いな事に風は無かったので比較的快適だった。

1時間ほど休憩を終えたあと、自己紹介をして下山時の注意点のレクチャー。
そして元来た道を引きかえす。
紅葉はすっかりと終わり、木々に実っていた葉は全て落ちていた。

道は濡れている上に落ち葉でさらに状態が悪く、登りよりも下りの方がより慎重に足を運ばないと滑ってこける為、おっかなびっくりの下山になった。


始めは濃い霧が立ち込めていたが、標高を落とすにつれて次第に晴れて行った。

そしてあっという間に下山。
ワイワイ話しながら進むと意外と長い道のりも辛くない。
完全に知り合いのいないアウェーな空間ではあったが山岳会のメンバーの方や、一般参加の方もとてもフレンドリーな方ばかりで、退屈になる瞬間は一つもなかった。
天候や眺望には恵まれなかったが、非常に有意義な時間になったと想う。

往路 瀬戸の滝経由 3時間10分
復路 2時間10分

帰りは近くの女鹿平温泉に入って、皆さんと裸の付き合い。
登山と温泉はやはりセットにするべきイベントだ。


特に単独に拘っているわけではない。
たしかにカメラを主体として山行を進めると一人が気楽でいいのだが、山深くに入ると時折、無意味に不安や恐怖が頬をかすめる時がある。それはスキューバーやバイク、キャンプ生活やファイヤーパフォーマンスをやってきた中にもそれぞれあって、特に自然と言う存在の真ん中に佇む瞬間にこそ強く感じることがあった。
それに向き合うにはお金のかかった高級な装備ではなく、技術と知識、そして積み重ねてきた経験だと常々思っている。

みんなでワイワイ。移動は乗合で行けばかかる金額は少なくて済む。
何より同じ趣味の集まりだから楽しい。
確かにそうだが、何よりもその道の上級者と共に行動することで自分の実力が底上げできることが長いこと続けるにあたって最も貴重な財産になるのではないかと想う。
実際に、写創蔵や天文同好会に加入し百戦錬磨の猛者の中で過ごす時間は実に有意義だ。


短い間だったが、周南山岳会のメンバーの方々に色々とレクチャーを受けたことは非常に勉強になった。

登山にも色々なスタイルがあって、自分がどのようなスタイルで登山を楽しみたいかまだ確立したものは無いが、今のところどう進めようか、答えは今出さず少しだけ悩もうと想う。


『無理に勧誘するつもりなんてないが、やりたいことや何か目標があったり、興味があったりするんなら、入会してみるのもいいと想うよ。』

会長や色々と話をしてくれた会のメンバーの方々はとても気さくで話しやすい人ばかりだった。





周南山岳会HP
http://s-sangaku.com/1


この縁を大事にしたい。
ありがとうございました。