蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

水無月朔日


雨が多い時期の始まりかぁ。

水無月っていうけど『無』は『の』の意味で、『水の月』というらしい。
雨が降り、大地を潤す。
田畑には水が張り始める頃だ。


一時期毎年通っていた棚田も足が遠のいている。


撮影は2008年の5月。
山口県内でも有名な棚田100選に選ばれている長門市油谷にある東後畑の棚田だ。
既に5月の初旬には田んぼに水が張られている。
夜になるとイカ釣り漁船の漁火が海面に浮かび、幻想的な風景を見ることが出来る。
最後に通って数年経っているが、今でも美しい棚田であろうか。


古いデータを紐解いてみると一番初めに訪れたのは2006年。
毎年通って、昨年出逢った人と同じ場所で再会したり、隣で口笛を吹きながらカメラを構えていた夫婦が実家のお隣さんだったりと何かと印象深い撮影地だ。


『何処から来たんですか〜』なんて世間話をしていると、『あ、それって俺の実家とおなじじゃん』みたいな話になった挙句、だんだん範囲が狭まって『ん?ところでお隣さんでは??』てな具合で再会。
この時点で十数年ぶりだったのでお互いに面影が乏しく、初見で気付かなかったというオチ。


隣家の風呂場から聞こえるご主人の口笛が幼少の頃の記憶にあり、撮影の時に隣から聞こえる口笛に何処か懐かしさを感じたのには合点がいった。
夫婦二人で色々なところに旅行に行くのが趣味だと昔から聞いていたが、なるほどカメラが趣味だったのか。


今となっては身辺の忙しさのあまり、満足のいく撮影を出来ていない。
下手糞なまま今に至るが、ただ一人風景と対峙し、ひたすらその瞬間が訪れる時までカメラ片手に待ち構えていた時が何処か懐かしい。