蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

祈り、ひとりひとり


国立広島原爆死没者追悼平和祈念館へ。
どうやらここ最近にできた施設のようだ。
観光客らしき一団を案内しているボランティアスタッフのおじいさんが、『ここは涼しいから休憩がてら入ってみましょう』と話をしているのをすぐそばで盗み聞きし、しばらく炎天下を歩いていたこともあってか少々へたばっていたのでクールダウンのつもりで転がり込んで行った。
入り口にあるオブジェは、原爆が投下された8時15分をあらわしているそうだ。

中はシンプルな回廊。ぐるぐるとまわっていくうちに天井が高くなる。
地下に潜っているようだ。

開けたところに広い空間が。
壁にはここから見た原爆投下直後の風景が描かれている。


とても静かな空間で、何処か礼拝堂の様な雰囲気だった。


昼時。
せっかく広島に来たのだからと、広島風お好み焼きを求め繁華街へ足を運んだ。
クソ暑いこの時期に重機材を持ち歩いてしまったので非常に足取りが重く、途中で休憩を何度もはさんだ。朝から晩までの撮影と決め込んでいた為、いつもよりも多めに準備した機材に正直うんざりしていた。



『荷物の大きさは旅の不安の大きさに比例する。』



まさに、当てはまっていたな。
途中で捨てるわけにもいかないし、えんやこら重機材を担いで繁華街を一人歩くのである。



繁華街の中心に、昔からある様なお好み焼き屋さんに入る。
なんとなく場所を知っていたのはここだったので、いつもの流れの如くと入ってしまった。
注文を終えた時に友人がやっていた店を思い出した。
しまったなぁ。まあいいか。また今度にしよう。

店のカウンターに座り目の前の鉄板でお好み焼きが出来る様を見つめながらぼんやりしていた。
店主らしき男が完成したお好み焼きを鉄板の上を滑らせ俺の目の前に運ぶ。


『今日だけの特別バージョンじゃ。』


この日、広島の市民球団と言われる広島カープの試合ではメンバー全員の背番号が『86』になっていたそうだ。

皆、一人ひとり、祈りの想いがある。
自分もその一人でありたい。