世間ではマスコミが大騒ぎ。
そして一般市民は踊らされている。
それはともかくとして、1ヶ月前から準備をしていたこの金環日蝕。
俺が住む山口でも金環日蝕は見ることは出来ないものの食分90%と言うほど太陽がかけるため、遠出せず山口でこの天体イベントを迎え撃つことにした。
しかし前日の朝からのニュースでは天気が悪い模様。
それでも、太陽観察用のフィルターを購入している上、真面目な事に仕事も休んでいる。
何もせずには居られない。
ここまで来て、「家でごろごろ」ではもったいないにも程がある。
それに周南天文同好会の福永さんと一緒に上関にある山の展望台でこのイベントを一緒に迎え撃つ約束をしているので機材一式を車に詰め込み夜の山へと進路を進めた。
展望台に向かう最中から天気は悪化の一途を辿り、午後9時くらいに展望台へ到着したときには、雨が降っていた。
福永さんはすでに到着。すでに赤道義の組み立てを終わらせていた。
上関にある皇座山展望台は天体観測をするには絶好のポイントで、周南天文同好会が毎月展望会を開いている場所だ。
晴れていれば星が見えるのだが如何せんこの雨だ。
この場所で観測を試みるのは福永さんと俺だけのようだ。
もはや、酒を呑むしかない。車の中で、二人宴会を夜遅くまでした。
「10時から明朝4時にかけて雨。それから曇りで朝には晴れる。今降っている雨は想定内。それに夕焼けが見えたので晴れる。」
徹底的にリサーチしている福永さんは、そう力説していた。さすがである。
星談議に華をさかせ、明朝から始まるイベントの為眠りについた。
朝。
雨音で目を覚ます。空はしっかり雨で、明るくなってきていた。
しかし、雨も次第に弱くなっている。
カーナビのテレビの中では各地の金環日蝕の状況を大騒ぎしていた。
こちらもだんだんと雲が薄くなってきたので本格的に準備を進める。
残念ながら雲は晴れず食分が最大になっている瞬間を拝むことは出来なかったが、諦めずに空をにらんでいると・・・。
雲の切れ目から不気味な太陽が顔を出した。
太陽の部分日蝕だ。
流れる雲から見せる太陽を必死で捕らえ撮影した。
二回目の日蝕観測だが、いつ見ても不思議で素晴らしい。
湯を沸かしコーヒーを作って、二人で祝杯を挙げた。
大枚をはたいて買った太陽観測用フィルターも役目を果たしたし、日蝕を見ることが出来ず哀しみの涙を日蝕サングラスで隠すことも無かったので良かった。
取り上げられてはいないが、今年6月6日には金星食。
どうやらこちらのほうが天文学的に珍しいらしい。