蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

それはヒトのエゴだ。

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小学生低学年の頃だろうか。

学校からの帰宅途中に野良犬を見かけ、可愛さついでに給食の残りのパンを分け与えてしまった。

犬は学習能力が高い。「こいつは餌をくれる」と思ったのか自宅まで付きまとわれ、挙句自宅の前に居座り長時間ギャンギャンと吠えたてられたことを記憶している。

親には「無暗に野良犬や野良猫に餌を与えてはならない」と、こっぴどく叱られた。

 

ネットサーフィンをしていると、『周南市緑地公園が野犬だらけでやばい』という記事と動画が挙げられているのを発見した。

 

なんでも周南市は野犬の生息頭数が日本一だというのだ。

 

実際にその周辺を訪れたことがある。

緑地公園周辺の何の変哲もない、ドラックストアがあるような一角で野犬数匹に追いかけ回されて道路上で転倒している小学生を見たことがあるし、隣接する市営墓地には数匹の野犬がたむろしいるのを見た。

当時、新しく住む場所を探していた時だったので、『この地区に住むのは絶対ありえないな』と強く思った次第だ。

どうやって集計したのかは不明だが、緑地公園内には200匹近い野犬が生息しているらしい。

 

今に始まったことではないだろう。

街のど真ん中に突如現れる広大な緑地帯。

周辺にはいくつも駐車場があり、飼えなくなった犬を遺棄するのは容易な場所だ。

所詮愛玩道具、要らねば捨てるは良くある話。

せめてもの情けで緑豊かな土地に・・・。

 

今流行の動物愛護の観点から行政は殺処分することも出来ず、愛護団体の里親支援とやらも有効なほど機能していないようにも伺える。

あまつさえ、愛護の名の下、餌やりに尽力するような輩がいるから困ったものだ。

 

愛護とは何ぞや。

 

ここではないが、夜に下松の湾岸沿いで撮影をしていると1台の走る軽自動車を十数匹もの犬が追いかけている姿を見た。到底飼い犬には見えない。

何事かと遠目で観察していると、自動車の中から出てきた中年女性が大きなペットフードの袋を破ってばら撒いているではないか。

正直『なんと無責任なことをしているのだろう』と呆れかえったものである。

 

行政はまともな手を打てないでいる。

『周ニャン市』などと、さして猫に縁もゆかりもない癖に言葉遊びに興じている場合ではないだろう。

正確な個体数を測定し、遺棄したり餌やりする輩を徹底的に取り締まるべきだと思っている。

食物連鎖の最下部(餌)をばら撒いているのは人間だ。

食物連鎖の理で喰うものが減れば、おのずと個体数は減ってくるからだ。

でないとあのわずかな区画にあれほどの野犬が大量発生するわけがない。

人の手で自然の摂理に静かに還すのが道理ではなかろうか。

 

個人的な考えで言及すれば、野生化した犬を引き取って里親に出すなど、野犬にとってはその地を無理やり引き離されたと同義だし、不自然に大量発生した野犬を市外ないしは県外へ、人の手がばら撒くような行為をするのは本当に正しい姿なのか疑問なのである。

ヒトという種族の小さな天秤で測った計測結果が『愛護』に思えて仕方ない。

 給餌し繁殖させ全国にばら撒く姿はまるでブリーダーじゃないか。

素晴らしい善意の塊だ。

 それが、ドブネズミやらツキノワグマでもやるか?つー話。

 

 

ワンちゃん、ネコちゃん大好き。

結構、結構。大いに結構。

彼らは人のエゴで棄てられ、人のエゴで餌を撒かれ、本能で繁殖し、そして増殖しただけの憐れな野生生物だ。

それを同じ人が保護だの、処分だの。

なんとおぞましいことか。

 

同じ市内に在住しながら野犬なんぞに襲われる心配のない土地で、のうのうとこのような記事を書き連ねるのもまた、俺のエゴだ。

 

 

  

 

 

黙れ小僧!お前にあの娘の不幸が癒せるのか?森を侵した人間が、我が牙を逃れるために投げてよこした赤子がサンだ!人間にもなれず、山犬にもなりきれぬ、哀れで醜い、かわいい我が娘だ!お前にサンを救えるか!?

  もののけ姫 山犬モロのセリフから抜粋