蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

月の推敲

観望会へ向かう途中の海岸線。
西の空に月と金星が沈もうとしていた。



夜空に珍しく月と金星が接近していて、水平線の向こうへ沈もうとする姿がなんとも美しかった。



すぐにでも観望会に向かいたい気持ちを抑え、海岸線にある駐車場に車を停めてカメラのセッティングを始めた。
月齢3.9の月はまるでナイフのように鋭く、それでいて日没後の暗くなった空に煌々と輝いていた。
隣り合う金星も金色に輝いている。
この二つの輝きが穏やかな海面に二筋の光のラインを浮かび上がらせ何とも幻想的だ。


さて露出をどうするか。
金色に輝く金星とナイフのような月。このディティールを残すと海面の光のラインが出ない。
水面に写る光跡を出そうと想うと月と金星のディティールがつぶれる。しかしながら水平線のディティールが出るのでそれは捨てがたい。
かといって、あとで加工を前提にして撮影し、結果合成じみた写真は如何なものか。



『僧は推す月下の門』 『僧は敲(たた)く月下の門』


三脚を据え、一人推敲の時間を愉しむ。