蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

端切れ

革細工のお話。


ある程度の大きさの物を作ったりしていると、革が端切れとして余ることがある。
正方形に裁断された革を買うことは滅多になく、いわゆる『一枚革』と言われる牛の形がそのまま残った不格好な状態で入手することが大半だ。


その歪な形からバックやポーチの材料を切り出すわけで、おのずとその使用するところ以外が切れ端としてそこそこ大きな余りになって残ってしまう。
タダの布ならそのままゴミ箱行きなのだが、革になると中々そうはいかない。
いかんせん革が高価だからだ。
それになんというか、『動物の革』という事もあり易々とゴミ箱に捨てるのに少なからず後ろめたさ的な情緒になってしまうこともあるんだなぁ。


業界用語なのかもしれないが『歩留りを良くする』という事を行う。
意味合いとしての俺の認識は、原材料を出来るだけ使い切り、捨てるようなことは避けるという感じだ。
バックの角に施している装飾も、多くはこの端切れの有効活用の為であったりする。
最近、中型の物を作ってきたせいもあってそれなりに流用価値の高い端切れが余っていた。



ちょっと時間を使って一品仕上げてみる。
今後作るアイテムの慣らしの意味も込めて・・・。

革細工の本に載っている作例を寸法形状そのまま流用し、仕立ててみた『名刺ケース』。
表面に何もないのは殺風景なので、いつも使っているデザインをワンポイントにあしらってみただけ。


中の形状はこんな感じ。最大で40枚くらいは余裕で入りそうだな。
マチの幅が狭いので、苦労するかなと思ったが、意外と簡単にできた。
こんな小さなものでも革細工におけるバック製作の基本過程がつめこまれている。


普段名刺なんかを交換する仕事でもないが、一応『プライベート用』に名刺を自作していたりする。
名刺ケースは二作目だが、出来はこちらの方が圧倒的に良い。

しかし、あれだね。
手縫いとはいえこれを作るのに3時間近くもかかったよ。
プロってある程度量産していないと商売ならないし、本格的に商売しようと想ったら大変だなぁ。