蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

f分の1の揺らぎ


f分の1の揺らぎという科学的に証明されいない効果が、揺れる炎の中にあるそうだ。



アウトドアシーンにおいて『灯り』というものは重要な役目を負っている。
暗闇の中で少しでも快適に過ごそうと思うと、必ずと言っていいほど重要なアイテムになってくるからだ。

近年は白熱球から蛍光灯、そしてLEDと目まぐるしく進化していき、小型でなおかつ大光量の『灯り』が増えてきた。

数年前のキャンプでこんなことがあった。
夜、皆で焚火とテーブルを囲い酒宴を楽しんでいると、一人の女性がうっかりテーブルの上に置かれていたランタンに接触し、倒してしまったところを思わず手で掴んでしまったのだ。
よもやテーブルの上で光っているランプが驚くほど加熱されているとはつゆ知らず、とっさの反応だったのだろう。
大事には至らなかったものの、一つ間違えると大けがを負わせてしまうところだった。

身の回りを見渡しても、熱を帯びている『灯り』は皆無だ。
消費電力が少なく大光量で鮮明な『灯り』を放つLEDが台頭してからというもの、すっかりと『灯り』への感受性は鈍くなってしまったように思える。


そんなこともあってか、最近ではLEDを主体とした照明器具ばかりを使用していると、時折物足りなくなってくる時があった。
どうしても『灯り』が無機質なのだ。
アウトドアシーンにおいて、ある意味安全性と合理性を突き詰めた結果なのだが、何処となく『灯り』の本質を見失ってしまったような気がしてならない。


熱も、音も、揺らぎもない『灯り』は感受性を育ててくれるのだろうか?

ちょっと衝動買い。
こんな照明を使おうとするなんて今の時代ナンセンスだ。
可燃性の液体燃料を燃やし、ほんの少しの明かりと莫大な熱を発散させる。
でも其処には炎が燃える熱と、音と、揺らぎがある。
この手のランタンが各メーカーから出ていることから察するに光線のようなLED照明は何の情緒も味もなく面白みに欠けるからだろうか?





ろくにキャンプもしない癖に、道具だけは増えていっている闇。