小学生高学年くらいの時から使っている目覚まし時計が在る。
奴は毎朝、五月蝿い音で俺を起こしてくれた。
たまに電池が弱るとバックライトが点かなかったり、アラームが鳴らなかったりする。
1ヶ月もすれば5分や10分早くなり、定刻より少し早めに起こしてくれるという大雑把で律儀な奴だった。
ここ最近になって音も出なくなり、ついには液晶のデジタル表示に見たことのない言語が現れるようになった。
電池を換えても直るのは一時の間。
とうとう、解読不能の時刻を延々と表示させるだけとなってしまった。
今朝、部屋の片隅に居た埃だらけの奴を綺麗にして、電池を抜き取った。
おつかれ
静かに、ゴミ箱に投げ入れた。
その時に初めて、俺は奴を愛用していたのだなと、ふと想った。
一仕事終え、部屋でひとり。
酒を呑む、今。