自然に対する畏敬の念を、頬をかすめる冷たい風が伝えてくる。
目の前に広がる白い風景は異世界で、美しさと共に飲み込まれそうになる恐怖もある。
自らの意志と足で進む先だからこそ価値がある。
進む強さ。引き返す勇気。
独学、初心者ながら雪山を始めている。
俺自身まだ山行数は少ないが、気の合う山友と出逢うことが出来、忙しい冬になりそうだ。
雪山をかじっていることを伝えると『連れて行ってよ』と言われる。
誘う側ならいざ知らず、こちらに丸投げされた感があって違和感を覚えた。
一度だけ安請け合いをしたが、とても気疲れした記憶がある。
ここ最近は、山の件はのらりくらりと話を逸らして避けている。
俺にだって合う合わないはあるんだ。人間だもの。
『一緒に行こうぜ』と言ってルート話に華を咲かせる方が性に合ってる。
