山本モータースのO田さん。昨年の冬くらいに突然登山に嵌り、色々と近隣の山を巡り始めていた。
萩往還マラニック&ウォークに一緒に参加したO田さんの友人とも一緒に登山をやっている仲間なのだそうだ。
丁度、O田さんの休みとタイミングが合い、一緒に山登りでもしてみようという事で、O田さんが冬の時期に登った周防大島の瀬戸内アルプスへと一緒に分け入ることにした。
周防大島の事は山口県に住み始めてからすぐにその存在を知ったが、ツーリングスポットか観光地としてのイメージしかなく、山口県の山を紹介する本にも周防大島の山情報の記載はあるものの、登山というイメージが無くあまり注目してはいなかった。
早速、周防大橋を渡り現地入り。文殊堂を起点にした登山道へと分け入る。
普段木の少ない岩場ばかりの登山道なので、鬱蒼と生い茂る森の中を進むのは何処か新鮮だった。
道幅も広く、とても歩きやすい。
良く道も踏まれている様子から、比較的訪れる登山客は多いようだ。
駐車場から少し登ったところに文殊堂という御堂が現われる。
そのそばから本格的に登山道が始まる。
文殊堂から文殊山までは0.9kmと入り口から第一の山頂までは比較的近い。
まぁ、文殊堂の駐車場も比較的標高が高い場所だったしね。
木段を進む。
気温も5月にしては高めで25℃を超えて夏日の予報。
それでも森の中を進むので比較的快適な方だった。
のんびりと参道を進むと、あっという間に第一ピークの文殊山山頂へと到着する。
天気が良くて登山日和だな。
山頂には立派な石柱の山頂標識。
そして展望台。
展望台の下は避難小屋のようになっていて出入りが自由だった。
展望台の上へと上がり、ここで小休止。
文殊山山頂の展望台からは360°の大パノラマで瀬戸内海を見渡せる絶景ポイントだった。
生憎、遠くは霞んでいたが、冬場の済んだ時期だと海が綺麗に見えるだろう。
手前の山は飯の山だな。
こちらも立派な展望台があってここから眺める風景も綺麗だ。
ここから本格的な縦走路。
瀬戸内アルプスには4つの頂があり、文殊山、嘉納山、源明山、嵩山があるのだが、今回はそのうちの文殊、嘉納、源明の三座を進むルートを選択した。
穏やかなアップダウンをくり返す山道。
木漏れ日も美しく、木々に囲まれ絵に書いたようなハイキングコースだ。
かつてこの山域が明治維新の時の古戦場だったこともあって、今も嘉納山へ至る稜線に沿うように土塁の跡が残っていた。
「当時はどんな感じだったんじゃろうねぇ。」
「尾根沿いにずーっと続いている、土塁を構築するのはかなり大変だったでしょうね。」
この土塁を防御壁にしてドンパチやってたんだろうね。
少し調べてみたところ、攻め手として険しい山を登って来た際にこの土塁に侵攻を阻まれて一列に並んでしまう為、そこを狙い撃ちするのだそうだ。
アップダウンを何度も繰り返し道を進む。
「とりあえず嘉納山で昼飯にしようか。」
瀬戸内アルプの最高峰、嘉納山。
一旦ここで荷物と腰を下ろして昼ごはんだ。
昼ごはんはいつもの家から持ってきた袋ラーメンとおにぎり。
O田さんはうどんのセット。
山頂にいると時折、涼しい風が吹いてきて思ったよりも快適だった。
昼食の後はコーヒータイム。
眺望はあるが文殊山の方が良く見渡せたかな。
三角点を中心に円形のステージのような場所の上で休憩していたのだけれど、説明板を読んでみると、なんと旧日本軍の砲台跡との事。今は、休憩ポイントの広場として活用されている。
あの鉄塔を越えれば縦走路の分岐点だ。
実は縦走と言いつつ、4座は一直線上に並んでいないため、分岐で源明山か嵩山のどちらかを選ばないといけない。4座を一度に踏もうと思ったら、分岐から各山頂まで往復せねばならず、なかなか難易度が上がる。
気温も昼を超えると高くなって来ていて、かつアップダウンをくり返しているためいつもの登り一辺倒の登山と比べると随分と体にかかる負担が大きいように感じた。
今回は気温が高い事もあるし、距離が短い源明山を目指すことに。
随分昔に嵩山の山頂は道は狭いけどツーリングで行ったことがある。あちらの展望は文殊山よりも良かった記憶だったが、分岐点からは源明山よりも倍くらい距離が遠いんだよな。
源明山を目指す。
特に難所となるような場所は無いのだが、気温が高くなった時期に繰り返されるアップダウンは久しぶりにしんどい思いをした。
「うぇ~・・・また登りかよ~。」
登りの苦手なO田さんが悲鳴を上げている。
「大丈夫ですよ。帰りはこの登りが下りに変わりますから。往復するので登りと降りの数は同じです。むしろ下りが登りに変わります!」
と、励ましか絶望か分からない励ましでO田さんを鼓舞する。
アップダウンが続くのは低山縦走の醍醐味と捉えるしかない。
O田さん自身は気温高くなって来てからの登山は初めての様で、暑さにばて気味だった。
「萩往還の時の方が何だか楽な気がしますね。」
「エイドステーションないじゃん。」
そんな馬鹿話をしながら山道を進む。
とてもマイナーな登山道かと思っていたが、道は本当にきれいな雰囲気だった。
途中の稜線で開けた場所が。
瀬戸内海に浮かぶ大小さまざまな島を一望できた。
霞んでおらずしっかりコントラストが良い時期だったらもっときれいに見えただろうな。
左に見えるのは嶽山。
ここから見ると分岐点からずいぶん長い稜線だなぁ。
帰りはこの降りを登るのか・・・。
ぐるりと周回できればベストな感じなんだけどね。
この峠を抜ければ登りになってゴールの源明山。
山頂まではもう少し。
山頂に出るとこちらにも大きな石碑。
古戦場だったことを示す石碑のようだ。
そのそばには源明山山頂の標識。
幕末明治維新の時の古戦場跡地でもあるようだ。
周辺は木々が生い茂っていて展望は殆ど無かった。
ここで少し休憩。
気温が高いと低山はやっぱりしんどいな。
さて戻ろうか。
通ってきた縦走路を再び戻る道。
後半戦にもかかわらず往路と同じくアップダウンが繰り返されるのが辛いところ。
山頂を踏んだ後は下り一辺倒にならないのが縦走の醍醐味ではあるのだけれど。
もと来た道をひたすら進む。
「夏は登山は止めとくかな~。こんなに汗かくとは思わなかった。」
夏の低山は熱中症が怖いですからねぇ。
縦走で距離がいつもより長い事と、気温が高めだったので普段はボトル1本のところ2本にして持って行ったのだけれど、後半には全部飲み干していたし、調理用の水も残りを水分補給で使って、結局最後まで水分はきっちり使い切ってしまった。
ようやっと到着した文殊山。
「ああ、ここまで来たらあとは降りだけだ。降りはタダみたいなもんじゃ!」
久し振りに長い時間山域に滞在したな。
始め登った時と比べると随分日が傾いて来たな。
文殊山展望台下の避難小屋で小休止を終え、最後の降りを歩ききった。
降りの特異なO田さん。
スピードアップ。
そして無事下山。
いやーなかなか面白い山だったな。
右田ヶ岳ばかり登っていたのでこういった樹林帯を進む道は久し振りで新鮮だったな。
〇文殊堂から嘉納山、源明山まで縦走後往復。
走行距離:11.43km
走行時間:5:24”07’(休憩含む)
平均ペース:28'19"/km
消費カロリー:790kcal
総上昇量:956m
平均心拍数:128bpm
〇参考値
文殊山~嘉納山 2㎞
嘉納山~源明山 2.5㎞
各区間 約50分
久し振りの縦走で楽しかった。
低山のネックで気温が高いと随分しんどい思いをすることになるのでもう少し気温が低い時期がベストかもしれない。水分はいつもより多めに持参していて正解だった。
文殊堂駐車場までは舗装路を車で進んでくることになって、スタート地点の標高は400m。総上昇量が多かったのはそれだけ道中のアップダウンが多い事が伺える。
少々難点なのは文殊堂までの道のりで、道幅が狭い箇所が多く、今回はO田さんの軽自動車だったがCX-8だと運転には随分気を使うだろう。
今回はのんびり行く予定だったのでスタートが11時、ゴールが16時だったが、嵩山も含めた4座縦走を検討するならば、朝一から登るのがベストだろう。
嘉納山から嵩山までの距離が4㎞。往復で8㎞と山頂間の距離が一番長いので、嘉納山からの分岐では嵩山を先に持ってきた方が余力を見やすい気がする。
周防大島の観光協会とヤマップがタイアップしているようで、この4座を一日で縦走をしたヤマップ情報を持ったうえでその日のうちに周防大島の宿泊施設で一泊するとオリジナルピンバッチを貰えるそうだ。止まらずともヤマップでのバッジを貰えるらしく、ヤマップのハードユーザーだったりしたらわざわざそれを狙いに周防大島を訪れる人も少なくは無いだろう。
最近は周防大島が移住地や観光地として県内でもかなり盛り上がっていて、島にはお洒落な店が溢れかえっているのだが、こういった所にも観光協会などが力を入れている事に驚いた。
秋の終わりか冬の始めくらいの涼しい時期に朝一から山域へ分け入り、嵩山を含めた4座縦走にトライしてみたいところだ。島内にも温泉施設があったり、食事を楽しめるお店が沢山あったりするので一連でたっぷりと遊べるような気がする。
これからの気温が高い暑い時期は正直きついかな。
帰り道に周防大橋付近にあるパン屋さん『PANCOPPE(パンコッペ)』でフロートを食べて熱くなった体を内側から冷やした。
O田さんおすすめのお店で、コッペパンを家族分奢ってもらった。
子供達からは大好評で、また食べたいとの要望が強かった。
周防大島に立ち寄る際はここで買い物して帰ろう。
周防大島。ツーリングスポットとして綺麗な海岸線やおしゃれなカフェばかりに注目していたが、登山もなかなか侮れないな。
時季を改めて4座縦走に挑戦してみようと想う。
O田さんお疲れ様でした!良い山行になりました!!!