
前日から雨の状況。天気図を見てみると、低気圧は東へ抜け西からは高気圧がせり出してくる。このまま進めば山行の道中は快晴。
等高線の様子からすれば風も無く穏やかだろう。
久し振りの県外遠征。目的地は由布岳へ。九州北部ではメジャーな山のひとつで訪れる人も多く、西日本で有数の温泉地別府の目と鼻の先にある。
山口県からは、全線開通した東九州道を使い大分道に入ると由布岳PAのスマートICを利用すると直ぐに麓の駐車場まで至り、ここ数年は九州の山地へのアクセスが格段に良くなっている印象だ。
今回は息子の初となる1000m級の山を目指す。

関門橋を越えて、九州の東側沿岸を南下。

由布岳PAへ向かう大分道に入れば眼前に由布岳の背面が見える。
由布岳PAのスマートICで高速道路を下りると、10分ほど走らせればすぐに麓の駐車場に到着する。
9:40着。約3時間の移動だ。
ゴールデンウィークという事もあってか駐車場はほぼ満車状態。
道中までに変な渋滞なども無く、取り敢えず車をきちんと止めることが出来て良かった。

荷物の準備を整えていざ出発。

新緑の美しい樹林帯を進む。

特段大きな岩場も難所も無いので心配することが無いのだが、標高が徐々に上がるにつれて道には大小さまざまな石が点在し慣れない足元に随分と苦労させられた。
考えてみれば、山口県内の山でこれだけ石が多いのはなかなか無いなぁ。

ペースは順調。息子のペースに合わせての登山。俺的には比較的負荷が高いわけではないペースなのだが息子はどうだろうか。

取り敢えず樹林帯の起点になる合野越で一休み。

写真ではうなだれているが、随分と余裕の様子だった。
動き出すと随分暑いね。
カロリーメイトで補給後、再び歩き出す。

「石ころが多くて歩きにくいね。」
「山口県の山では見たことのない植物。」
「上に行けばなんだか樹の背が低くなってきた。」
山の変化に目をやりながら登る。

「ちょっと疲れてきた。」
こういう時は何か食べておくとまた動けるようになる。
あまりお腹が空いてなくても細かく栄養補給をすると疲れが回復する。
息子が熱中しているマインクラフトのゲームのようにポーションで体力を回復させるイメージで話をしながら登る。
石も拝めば仏か、カロリーメイトを食べれば回復した気になってまた元気に歩き出す。
「ザックの中にあるウィダーインゼリーは全回復のアイテムだからいざという時まで取っておこう。」

随分周りの木々も少なくなってきた。
つい、十数分前はあたりの様子を伺うことが出来なかったくらいに木々が遮っていたが、ここまで来ると遮るものも無く辺りが良く見渡せる。
「雲一つない快晴で良かったね。」
「くねくねの道路を走る車がゴマ粒みたい。」

「遠くに見えるあの山並みが久住連山。九州本土の最高峰がある場所じゃね。」
タイミングが合えば久住の麓で登山キャンプもアリかな。

岩場と細い道に悪戦苦闘。
「あとどれくらい?」
この言葉が出はじめるとしんどくなってきたサインかな。
「もう少しもう少し。」

大人の俺でもこのガレた道はバランスがふらつくので少々しんどい。
お互いこういう道に慣れていない、というのもあるのだろう。
「右田ヶ岳は石は大きくてこんな感じじゃ無いのにねぇ。岩を登って越えていく方がまだ楽じゃ。」
山によって特徴がいろいろあるんだな。

西峰・東峰の分岐点、『マタエ』までの岩場の急登を登る。
ここまで来るとかなり高度を上げてきたように感じる。
「あれ!いつの間にか木が無くなっている!?」
これが森林限界ってやつなんだよね。もっと高所であるんだけれど、由布岳は火山性の土質だったりする影響でこれくらいの高度でも森林限界を体験できるんだよな。
きついながらも比較的安全に色々なバリエーションを体験してもらいたくてこの由布岳を選んだ理由のひとつ。

分岐点まで到着。
「もうしんどい。ここまでにしようや。」
「イヤイヤあとちょっと。もう少し頑張ってみよう。」

眼下には九州山脈の広大な景色が広がる。

「うわー遠いなぁ。」
「見た目より近いて。」
マタエまでで体力を擦り減らしていて、頂への最後の急登がいよいよしんどく感じる。

振り返れば西峰への至る道、通称屏風岩が目の前の峰に広がっていて多くの登山客が岩に張り付いていた。
「あっちはまだ背丈が低いから無理だろうね。今回はまだ簡単な東峰がゴールだ。あとすこし!」
「いやー、あの岩は怖くて登れんよ。」
向うの様子を伺いながら慎重な足取りでゴールを目指す。

「ちょっと怖い・・・。高所恐怖症やね。」
この高度感を体験すると高さゆえの恐怖を感じるだろう。
高度感のある風景というのを未だに写真に収めて表現できないでいる。
この高度感や解放感は写真でも動画でもなく、現実に体験しないと味わえない感覚だ。
手を繋いでゆっくり山頂を目指す。
この得体のしれない高度感を体験してもらいたかったのはこの山を選んだひとつ。
あのそそり立つ岩の向うが山頂だ。

無事到着。息子も嬉しそうで満足げだった。
山頂は沢山の人で賑わっていて、穏やかに吹く風は標高1500mの風らしくキンと冷たい肌ざわり。
「お腹が空いたね。ちょうど昼時だ。ここは人が多いから少し下った平地でお昼ご飯にしよう。」

定番の袋ラーメンと道中のコンビニで購入した山賊結びを食べる。
2袋を一気に茹でるのは出来なかったので、持ってきたシェラカップで分けながら2回茹でて結局全部二人で平らげてしまった。

深底チタンシェラカップがフィールドでようやく出番を迎えたな。
蓋が小皿にもなってなかなか使い勝手はよかった。

腹いっぱいにしておこう。子供が食べ終える間に湯を沸かしてコーヒータイム。

晴れてなかなか良い登山日和だ。

これが曇っていて辺りが何にも見えなかったりしたらつまんないだろうなぁ。
あるいはこの時見た由布岳のように雲の上に山頂が来ていたらどのように見えただろうか。雲の上まで来たという体験は今回はお預けになったな。
まぁ、中途半端に曇るよりスカッと晴れている方が山行としては楽しいしね。

さぁ、降りようか。
もと来た道を降る。一人ならお鉢巡り、そして8年前に行きそびれた飯盛ヶ城への縦走だったが、子連れでお鉢巡りは難易度が高いし、息子は随分と体力を消費していたので飯盛ヶ城への登りは時間的にも体力的にも無理だろうと判断して純粋にピストンにした。
親子登山では山域腹7分くらいにしておいた方が良いしね。

「石が邪魔でだるいわ~。」
「ようやっと樹林帯に入った。もうすぐだ。」

樹林帯を抜けたら下山の喜びのあまり、走り出していた。
「こけるなよ~。」

無事、下山。

〇往路 正面ルート
走行時間:3.39km
走行距離:2:29'37"
平均ペース:37'10"/km
消費カロリー:342kcal
平均心拍数:128bpm
〇復路 正面ルート
走行時間:4.20km
走行距離:2:01'51"
平均ペース:28'58"/km
消費カロリー:187kcal
平均心拍数:112bpm
息子のペースで歩くと随分と時間がかかるね。こればっかりは子供に合わせないと話が通らない。

下山後は眼下の別府へと足を運ぶ。
以前、由布岳をS君と登った後に立ち寄った明礬温泉にある別府保養ランドの泥湯だ。
山口県内には泥湯なんてないし、こんな珍しい温泉に入れる体験も無いので立ち寄ってみた。
効能が強すぎて12歳未満は入ったらダメみたいな湯船もあったりしてなかなか効能にパンチのある温泉だ。
息子は露天の泥湯に足を降ろした瞬間の足にまとわりつく泥に狼狽しておりましたな。
顔から体から全身に泥を塗ったくって、『プレデターとの最終決戦の準備をするジュワルツェネッガー遊び』をしてたら息子にドン引きされましたなっ。
「まじで俺に泥を掛けないで!」
つまんねぇ奴。泥遊びは子供の醍醐味だろうが・・・。
天然蒸気を利用した蒸湯(サウナ)は入室後2秒で「俺無理」宣言をして撤退だし・・・。
あ、ちなみに露天は混浴ですがラッキースケベなイベントはありませんでしたなっ!

温泉の後は二人で登頂の乾杯。
息子曰く、登った時の達成感はあったとの事だった。
天気も良くて山頂に来た感があったしね。
まぁ、リピートは無いそうだ。とにかく足元に転がる石がスムーズな歩行を邪魔して一層しんどかったそうだ。うん、確かに。
登山自体はしたくないという事でもないようなのでとりあえずまぁ良いかといった感じだ。
夕食はせっかく大分まで来たので大分の名物を食べれそうな店を探して現地で食べることにした。
高速道路上のサービスエリアで食事をしても良かったんだけれど、遠方まで来たらサービスエリアで食事をするのは機会損失しているように最近思えてきて、積極的に現地で食事まで堪能しようとなっていた。

ちょうど大分名物のだご汁やとり天を食べれそうな評価の高いお店があったのでそちらに立ち寄る。「甘味茶屋」というお店。

息子はだご汁(大)に天むすびセット(海老)。

ふるさと定食という、とり天、だご汁、やせうま、など大分の名物料理が一同に会した定食を注文。
十二分に満足な夕食になった。

デザートは黒蜜きな粉餅。
腹いっぱいだったけれど、甘味は別腹で全部食べれたな。

そんなこんなで由布岳親子登山は晴天の後、無事登頂を果たすことが出来た。
トータルで5時間近い山行だったが、道中へたばる事は少々ありつつも、最後は平然と降りて来ていたので息子のポテンシャルはまだまだあるようだ。
夏の始めか終わりあたりの夏休みを利用して、今度は中国地方最高峰の伯耆大山を目指してみるかと帰路の車の中で話をした。
標高も高いし階段は多いものの由布岳よりは登りやすいんじゃないかな?
取り敢えず、お疲れ様でした!