蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

山行記 伯耆大山雪中行 前編

昨年の夏、庭でバーベキューを山仲間のS君とやりながら「厳冬期の大山へいこう」と約束をした。
S君自体は山岳会で何度か足を運んでいることと、今日にいたるまで、一緒に三瓶山でラッセル登山をしたり、各自雪山の訓練を積み重ねて伯耆大山への準備を進めていた。
天候が安定して、比較的安全に登れる3月を目安にしていた。
天気予報だと晴れ。天気図を眺めてみても、大荒れの様子は無さそう。

せいぜい午後には天候が良くなるとみており、雪が積もった大山の夏山登山道をハイキングと想っていたのだが、

どうやら、そうはいかないようだ。

市営の駐車場に車を停めて夏山登山道から山頂を目指す。
日本百名山、中国地方最高峰、周辺はスキー場があり交通アクセスもよく、県内外から多くの登山客がこの雪山と化した伯耆大山を目指してやってくる。


実際に、この夏山登山道はルートが明確であり、尾根を進むので雪崩の心配も少ないため、冬でもこのルートを辿る登山者は多い。現に多くの人で山道は賑わっていた。
すでに2合目付近から濃霧包まれている。
積雪も、温かくなってきた3月とは思えない程多く、すでにこの辺りで1M以上あったように思える。

高度を上げる。
高度を上げるにつれ、霧は濃くなり、雪も固く氷の様になってきている。

6合目避難小屋へ到着。

夏はこんな感じだったんだけど、階段部分が全く見えないくらいまで積雪している。
無駄に高い場所に作っているなぁと想っていたのだが、そういう事か。
ここから、あたりは森林限界をむかえる。
遮るものが無いため吹き付ける強風と濃霧の中、山頂を目指す。
装備品が白く染まっていく。
晴れていると大山の尾根が見えるのだが、10m先が全く見えない状態。
大雪だったりもっとひどい状況だと、この6合目が引き返すポイントになってくるのだが、
そこまで酷い状況ではないので、トレースを確認して先を目指す。

標高1600M付近。ここから木道のある平坦な道になる。
天候が荒れ、ホワイトアウトしてしまうと現在地を見失ってしまう危険が高いエリアだ。
だから天候が荒れている場合は6合目で引き返せという事になっているようだ。
この日は木道も出現しており、沢山の登山客が往来しているので木道に沿ってさらに上を目指す。


あぁ、真っ白で何も見えん。
前面には剣ヶ峰の尾根、後ろには日本海の水平線。
素晴らしい景色が広がっているのだが、本当に残念。
真っ白な中を進んでいると、どこかふわふわしたまるで夢の中にいるような感覚に陥ってしまう。
聴こえるのは自分の息遣いと強風の音。
ゆっくりゆっくり進んで、

ようやく到着した。