白く染まった道へ分け入る。
木道ははっきりと表に出ており、ルートは明確。
凍えるほどの寒さも、よろめくほどの風もない。
辺りは濃い霧に覆われおり、凍った水蒸気が装備にまとわりついてくる。
少し怖くなるくらい静まり返っていて不安を覚えるが、これも野遊びの中では大切な感覚だと想い、大事にしている。
山頂避難小屋を過ぎる。
軒下まで雪が積もっていないところを見るとこの山の本格的な冬支度には少々早いようだ。
とりあえず山頂標識まで到着した。
辺りは誰もいない。凍った冷たい空気と風が流れている。
さらに奥へ。
弥山三角点のピークをさらに超えると、中国地方最高点『剣ヶ峰』が存在している。
崩落の進んだ尾根に大量の雪が降り積もり固まると何とか人一人が通れる道が出来上がる。
北壁と南壁の頂点になる尾根に分け入る。
時期が早いのかトレースもなく、尾根道もすぐに先細く変化し刃の上を歩くような様相に変わる。
谷の底が見えない。
進む先が見えない事とあっという間に道は険しくなり、この雪の下が岩なのか草なのかもわからなくなってくる。
トレースもないし、ピッケルとアイゼンの刃先だけで北壁に取りつくようになった。
ここが限界だろう。
弥山三角点から、剣が峰まで約1時間という。
たった15分程度進んだところでこの有様。
帰りも考えるとこれ以上進んで進退窮まるような状況はまずい。
きっと今日の帰れるポイントはここだろう。
今日はここまで。
さぁ。山小屋に戻って昼飯だ。
山小屋は貸切状態。
前回は小屋が雪で埋もれていたため暗い中での食事だったが、今日は明るい中で食事をできそうだ。
味噌ラーメンにチョリソーを添えて。
寒い時期の食事は暖かいものに限る。
特に冬のアウトドアでは必ず温かい物を体に入れて内側から温めるように心がけている。寒い時期には最も効果的な暖の取り方だと想っているからだ。
下山を開始。
予報通り青空を拝むことは出来なさそうだ。
もっと雪が積もっていれば6合目からの下山を試みる予定だったが、今回は素直に行者道へ抜ける。
雪と霧に包まれて辺りはとても幻想的な雰囲気だった。
北壁下へ到着。大山の全容は雲に遮られて見えなかった。
大山神社へ到着し、参拝して帰路についた。
とりあえず登山と温泉はセットにしたいところ。
大山の遠征では必ず立ち寄る轟円湯院。
食事する場所や土産物屋も併設されており、立地も大山麓の旅館街にあるので立ち寄りやすい。
旅館街をウロウロして探索しても良いのだけれどついついここだけで完結させてしまう。
冬なのに雪もなく、天候も悪い平日。本来ならば登山客だけでなくスキー客でにぎわう場所なのだが周辺エリア全体が閑散としており、風呂も食堂も貸切状態だった。
3月に来たときになにやらおしゃれそうな建物が近くに作られていて、その作りが何処かアウトドアショップに雰囲気が似ていたので何ができるのかと思っていたが・・・。
土産物屋件食事処が出来ていた。
近くに立派なモンベルショップがあるので、地域貢献として協力しているのかもしれない。
轟円湯院の土産物屋もモンベルフレンドマーケットと記載があったし、店員さんもモンベルの帽子を被っていたりしていたので地域密着でやっているのだろう。
古びた旅館街にモダンでオシャレな一角が出来上がっていたので驚いた。
往路:夏山登山道 2時間30分
復路:行者登山道 1時間15分
雪がこそまで積もっていないとはいえ階段があったりと登りはそれなりにしんどかった。
ここに至るまで何度か別の雪山で訓練をしていくのだが、今シーズンの雪山の1座目が伯耆大山になった。
タイミングを見計らって、あと数回は訪れたい。
もう少し近ければなぁ。
雪山以外では7月上旬ごろにユートピアコースは花で道が綺麗らしいし、周辺の山々やルートも見どころが多く、冬山以外でも楽しめれる場所ではあるのだけれど。
そろそろ晴天の冬大山を拝んでみたいのだが、この時期はなかなかそうはいかないだろうな。
また、遊びに来ます。