蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

月下美人

夜も暮れて夕食を済ませた頃、家の呼び鈴が鳴った。
こんな時間にアポなしの来客は珍しい。
玄関を開けるとそこには大家さんが立っていた。
『丁度月下美人という花がうちの玄関に咲いているので良かったら写真でも撮っておかないか?』

今年の梅雨時に近所の公園で紫陽花の花を撮影しているところを大家さんに目撃されていたことと、玄関に大きく引き伸ばして飾ってある大賀蓮の写真をしっているので、どうやらこちらの趣味が筒抜けだったのだろう。

そして、植物の写真は好みで撮影するものの植物自体の知識が無いので、初めて聞いた時に『月下美人』とは何ぞや?と想ってしまった次第である。
ましてや、日中ならいざ知らず何故この夜にわざわざそんな話を持ち掛けてきたのか?
そう、なんと月下美人の花は夜に咲く花だそうだ。そして翌日には花はしぼんでしまい一晩限りだという。
ナイスタイミング!

さっそく目と鼻の先にある大家さん宅にカメラとLED照明器具を持っていき撮影をさせて貰った。


玄関先に到着した時点で周囲はかなり濃厚な香りに包まれている。


茎は上から下へ垂れておりその先端に華が咲いている何とも不思議な姿。
そして透き通るほど真っ白な花。
絹の様な花弁が折り重なっている不思議な様をまじまじと見ていると『月下美人』と言われる理由がなんとなくわかる気がする。


一夜限りに咲く花。『美人薄命』とは、まさにこの事か。