人の生き死にに、俺は無力だ。
傍観することしか出来ず、それでも前へ歩き出す。
追記。
この日は、突然息を引き取った甥っ子の葬儀の日だった。まだ1歳と8ヶ月。
身近なところで突然現れた幼い命の死に、ただただ涙を流して見つめることしかできなかった。
大雨の中で甥っ子の死の知らせを聞いた。
そのまま病院へ駆け込んで、冷たくなってしまったその姿を見たときのビジョンは一生涯忘れることは無いだろう。
驚くほど小さな棺に、一杯に添えられた花。
出棺の時には、前日までの雨が嘘のような蒼空だった。
街で見る国旗はこの日に合わせ、半旗が掲げられ、国中が喪に伏していた。
まるでこの幼い命の終わりに世界中が悲しんでいるかのような錯覚さえ感じた。
両親の悲しみは多大なことであろう。
自分自身も父親となったから、その苦しみ、悲しみは痛いほどわかる。
それでも俺は無力にも、傍観する事しかできなかった。
あまりにも鮮烈な日だったと想う。
ふと、今年を思い返し、眠れぬ夜にこの想いを此処へしたためる。