蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

故郷の風景


夜。
近くの自動販売機で飲み物を買うついでに近所を散歩。


さいころは、この散歩の範囲くらいが俺の世界だった。

私鉄の駅は、小さいころに知っていた名前と変わっている。



月は相変わらずだ。



車で30分圏内には大型ショッピングモールが乱立し、今住んでいる山口と比べると幾分か都会じみて何かと便利な雰囲気にはなっていたが、かつて子供たちで賑わっていた休日の道端や公園は不気味にも閑散としていた。
住宅街の雰囲気も空き家が目立ち、草が多い茂っている。
それでも所々見渡せば、立て替えたような新しげな家もあったりする。
世代交代をしているのだろうが、俺の感覚的には何処と無く『年老いた街』の様相だ。



珍しいことに、住宅街の片隅で鶏なんてかってやがるの。
遠い記憶を紐解けば、良く解らんこんな家も確かにあったな。
朝から五月蠅いだろうに・・・。



遠賀川ポンプ場。市役所の垂れ幕にユネスコの近代化遺産への登録を目指しているそうだ。
旧官営八幡製鉄所(現新日鉄)のポンプ場で、1910(明治43)年頃に建設され今もなお、現役で使われている。
色々と町おこしに躍起になっているな。
何でも中は荘厳なつくりらしいが、現役の設備ということもあり、立ち入り禁止。
子供の頃からただのくたびれた廃工場と想っていたが、今でも建屋の中からモーターの作動音が聞こえていた。
はっきり言って思ったことだが、隣接する民家が気の毒でしょうがない。


物心ついたときから住んでいた町が、今となっては全くの別物になっていく感覚。
きっと外に出ていなかったら、気付かなかったんだろうな。


それが良い事なのか、悪い事なのかは、さておいて・・・。