革細工ネタ。
久々に革細工をやって、ひと段落。
革細工はすべて手作業でやっている。当然糸を縫うのもすべて手作業だ。
よくその等間隔で整列した糸の縫い目から、『ミシンで縫っているの?』と聞かれることが多いのだが、実はあらかじめ等間隔に穴をあけており、そこに糸を通しているのだ。
問題なのがその等間隔の穴を明ける作業。
フォークの様な工具を木ハンマーを使ってトントン叩いて穴を明けるのだが、それが結構騒音。
一軒家(ボロ借家)である程度気兼ねなく出来るのだが、ここ最近は子供がびっくりして泣き出すので、なかなかタイミングが難しくなってきている。
行程の関係上、事前に穴あけ作業を集中してやっておく、というのが出来ないことが多い。
気が向いた時にしかやらない。というのはひとまずそういう理由もあったりする。
ともかく、革細工の醍醐味は経年変化だ。
これは初めて作ったスマホケース。
デザイン上、恐らく最高のデザインだろう。
この度作ったケースとは違い、ケースに収納したまま操作できる、自画自賛ながら最高の逸品だった。
これを大切に使って約3年。
色も濃く、そして渋くなった。金具関係はボロボロになってしまったのだが・・・。
残念なことに、今後これは工房の飾りになってしまう。
スマホを変えた時点で、このケースの役目は終わってしまったのだ。
どんなにケースがカッコ良くて、永く使えるものであったとしても、それに納める中身がたった3年で機能が劣化し、時代遅れになってしまう。
実に馬鹿らしく思えてきた。
最近のスマホは薄く画面も大きく際までいっぱい。それに合わせた専用ケースを作るのは技術的に難しくなってしまったため、今回作ったケースは汎用性を持たせてただ入れるだけという設計にした。
今使っている新しいスマホは恐らく一番大きなサイズのもので、これよりも少し大きめに作っておけば、2代〜3代くらいまで、継続して使えるのではないかと思っている。逆にケースに入るスマホを選べばいいだけだしね。これ以上大きくなるのはスマートじゃないだろう。
永く使えるものを。
新しいものが次々登場して使い捨てにされる中で、儲からないかもしれないけれど、そういうモノづくりがあってもいいかもしれない。
経年変化後のスマホケース撮影中に、ふと棚の下から現れた小銭入れ・・・。
一年前のHBナイトの時に無くしたとばっかり想っていたのが、ひょっこり現れた。
そして、発見したときの姿は・・・。
残念ながら、とてもじゃないけれど、記録には残せそうにない。
腐海に侵食された見るも無残な状態になっていた。
これでもかというくらいにカビだらけ。
触ったら何故かシットリ。苗床。ミイラ。
何故か不気味な生命のオーラをひしひしと感じる。
恐らく食事中に観たら、クレームが来るだろう。
ポロリと出てきたときの『あ!あった!!』の喜びから0.1秒くらいで現れた絶望感。
久々な惨劇の為、自主規制させていただく。
復元を考えるが、いい手も思いつかず、手や顔が心なしか痒くなってきた・・・。
残念ながら、丁寧にゴミ箱逝きとなってもらった。
新品の革は人の油など養分となる不純物が少ないのでカビることはそうそうないのだが、しっかりと手の油を吸って、ジメジメした棚の下に放置されると大変なことになるようだ。
これは経年変化ではなく、劣化だ。
大切に仕舞い込むと1年でダメになる。(仕舞い込んではいないのだが。)
革細工を長持ちさせようと想うのならば、大切に『使う』ことが重要だ。
嗚呼・・・かなりお気に入りだったのに。
家の中を結構探して無かったので、絶対外で無くしたと想っていたのだが。
くそう。リメイクしてやる!