海岸線を走り抜ける。
トンネルを抜けた先に見えたのは、砂の大地。
広い砂の大地の奥に海が見える不思議な光景。
海岸にしては広大で、砂漠にしては海がある。
この不思議な対比が織りなす『砂丘』が好きだ。
恐らくもっと近場にあったら、毎週来ているかもしれない場所。
今回はただ砂丘を見に来たわけではない。
もう一つ見たかったもの、それは・・・。
『砂の美術館』だ。
数年前からたびたび開催されている砂像の展覧会で、ここ1〜2年で全天候型の屋内で開催されることになったそうだ。今回は東南アジアをテーマに世界各国から砂像アーティストを招いて開催している。毎年テーマが変わるようだ。
さっそく美術館内部に入る。
『すげぇ・・・!!』
室内に入ると同時に思わず口に出した。
砂を固めて出来たそれは、まさしく芸術品だった。
なんなんだよ!これは!!?
何をどうやったらこのディティールを表現できるのか?
ほんと、久々にええもん見させてもらいました。
おすすめスポット。お近くの際は是非!
そして、今日の寝床。
鳥取砂丘隣の無料キャンプ場にてテント設営。
無料の割には、水場、トイレ完備。
なかなか良いぞ、ここ。
テントを立てていると、どう見てもバイク乗りのお姉さんが声をかけてきた。
どうやらキャンプ場内へバイクを乗り入れる際、砂地で転倒させてしまったそうだ。
ありゃりゃ。
砂地なのでバイクは無事。
しかし・・・。俺と同じツアラーで俺よりもすごい量の機材を積んでいる。
しかも一人旅。すごい人もいるもんだ。
軽く挨拶を交わして、最終目的地・鳥取砂丘へ!
広い・・・。本当に行けども行けども、進んだ気がしない。
なんてこった。写真で撮っても、イマイチ広大さが伝わらない。
海風に巻き上げられて足元を通り過ぎる砂嵐。
この世界に、俺は一人。
風が作る砂紋。風と砂のアートだ。
落し物。電源を入れると起動はするが、エラーになった。
恐らくこいつは、主の元へは帰れまい。
暗くなって遭難してはいけないので、陽が落ちる前にテントへ戻る。
キャンプサイドを歩いていると、さっきのこけていたお姉さんがすごい勢いで手招きしている。
あたりを見回すが、どうやら招かれているのは俺のようだ。
「私はみづき!みづきの『づ』は『つ』に『゛』!!」
おう!
みづき姉さんの呼びかけで、急遽!ご近所のバイクキャンパーの名古屋からのみづきさん(中国地方周回中で9泊目!?)、連泊中滋賀からのさーやんさん(72歳!?)、同じ山口からのサエキさん(防府市から!?)と俺の4名で宴会となった。
各地から来ている旅人達と、旅やバイクの話で盛り上がり、持ち寄りのお酒と食事で宴会。
旅の醍醐味やね。皆バイカー。そしてロングツーリング中で結構な日数を旅している様子だった。
こうやって、いろいろな人の旅話の中で、学ばせてもらうことが多いし、いろいろと助け助けられて、生きているんだと実感できる。
温かいものをごちそうになりました。
残念なことに、盛り上がったところで冷たい雨。
早々と就寝に・・・。
翌日・・・えらい寒い。えーと・・・5月なんですけど・・・。
ちょっと天候が怪しいのと、翌日からは転進して南へ進む計画があったので、早々撤収。
お世話になった人に挨拶して、キャンプ地を後にした。
その後の出来事は・・・・。
山越えで雨。しかも気温はかなり低温。
革ジャン&フリースではまったく歯が立たず・・・。
しかもカメラ操作を優先して、指先なしのグローブ・・・。
うーん、手の感触がなくなってきたぞ。
最終兵器のカッパを早々投入。が、寒さ変わらず。
ただひたすら冷たい雨風に耐える苦行・・・。
止まれない、止めれないハイウェイ・・・。
帰宅道中の山並みやスナップ写真の撮影なんかできる余裕もありませんでした。
雨が降るときもあるさ。
だって自然なんだもん。
そのうち虹が見えるよ。
クソッタレのシステム社会から抜け出して、ろくでもない素晴らしき世界へ飛び込む。
雨に打たれ、風に流され、寒さと自分に向き合う。
こんな不自由を『自由』と歌って旅できることが、楽しいんだ。
砂の大地の章 おわり
【次回予告! 春のロングツーリング編 火の国の章(予定)】
これから3泊4日のキャンプツーリングなのにゴミ袋しか引っ下げていない嫁のバイク!!
よれよれの中古ネットを巻きつけちゃたりなんかしたりして!!
え?あれ?荷物は誰が持つんですか?
あ!ええ?・・ええ、ああ、そーですか、私ですか!!
こうご期待!