寒い。
昨日から真冬を思わせる寒さだ。
外に出て息を吸うと、鼻から喉、そして肺へと冷たい空気が入ってくる。
空を見上げると晴天。
真冬を思わせる寒さ。
こんな日は走るにかぎる。
そう遠くに行くのも面倒だったので、近くの大平山の頂上へ向かう。
頂上の展望台で、コーヒーを飲みながら住んでいる街を見下ろす。
ちっぽけな平野に広がるちっぽけな街に、俺は暮らしている。
霞んだ水平線に、船がいくつか見えた。
山の反対側にも小さな街。
煙突から煙を出してるちっぽけな街に、あの子は住んでいる。
少し高いところへ行くと、何もかもがちっぽけに見えてしまう。
海とは反対側の空から、雪がちらついてきた。