蒼天遊々な旅

LIFE IS TRAVEL

雨。雷の鳴る夜明け。

昨年の、冬の帳が訪れる頃。
偶然出逢ったある人から、革細工の修理をお願いされた。



今日に至り、結果は断念。
所詮素人でやっている技術力と現在の材料調達ルートでは修理することが出来ないと判断した結果、今日丁重にお断りの連絡を入れた。



年季が入っている品物だった。
革細工だから、そのものをどれだけ大切に扱ってきたかが見て取れる。
無為に俺の手元に保管するよりも、然るべき宿主の手に戻すのが道理。
修理できないまま放って置いて、他の革細工するのも罪悪感があったし、何よりも、愛着の着いたものを修理するどころか下手にいじって駄目にするのが怖かった。


所詮俺は素人だ。








そんな、雨の降る朝。