技術大国ニッポンが過ちを犯した。
「安全神話」という枕物語の夢の終わり。
残ったのは放射能汚染国ニッポンのレッテル。
人々は家を追われ、家畜は見殺し。
想定外という謝罪の言葉に、技術大国ニッポンと言う言葉は霧に消えた。
技術大国と銘打つならば、より安全な原発へ道を進めるのか。
今こそ、自然エネルギー転換等の新たな道を進み、世界に改めて技術大国の名を馳せるときではなかろうか。
それが、世界の海に、空に、放射能を撒いた技術大国ニッポンの贖罪。
俺はそう考える。
しかし、未だに安全神話を夢見、推進する方がこの地にいる。
彼らは、今の惨状を観て何を想うのか。
「自分達の住むところを豊かに」
「より安全なものを目指す」
その豊かさは何なのか。
億と詰まれた金なのか。
原発と共に生きることなのか。
添削されたテレビニュースの画面を見て、「あれこそ豊か」と今、思えるのか。
彼らの言うとおり俺は、そこに生きる者ではない。
だが、ここで生きている。
ルールを守らない反対派かもしれない。(それが事実であれば、自分の勉強不足で恥ずべき点と思うし、申し訳ないと思う)
「町のことは町民が決めていきます。お願いですから、自分勝手な行動で自己満足している行為をやめていただきたい」
「多くの上関町民の思いを無視し、自分達の思想のみを唱え、社会のルールを守れない反対派は来ないで貰いたいと言うことです」
と、どのような思いで語っているのか。
彼らの思いを、俺は無視できない。
無視とは、無関心だ。
俺は、もう無関心ではいられない。
無関心であってはならない。
最早、「町」と言う枠組みで捕らえて良いことでもないと思っている。
そこまで彼等を駆り立てるのは何なのか。
俺が、この生き方に駆り立てられるのは、
自分と愛する人との間に生まれた子供に、自分達の残した安全神話の贖罪を背負わせることになるのが嫌だからだ。
自分の親友の子供達に背負わせるのが嫌だからだ。
来たるべき、自分の未来をゆだねる時に、一人の男として胸を張れる終わりを迎えれるかどうか。
それが、いま、ここに立つ理由。
仰るとおり、まさしく自己満足。
では、問おう。
貴方は何に駆り立てられて戦っているのか。
貴方はどんな信念の旗を掲げているのか?
町のため?
家族の為?
金の為?
子供達の明るい未来のため?
来たるべき、自分の未来をゆだねる時に、一人の男として胸を張れる終わりを迎える為?
世界の問題は世界で決めるべきです。お願いですから、ミクロ的な行動で自己満足している行為をやめていただきたい。
多くの反対派の思いを無視し、自分達の思想のみを唱え、社会のルールを守れない反対派は来ないでと冷たくしないで貰いたいと言うことです。
いま、少しでも歩み寄れることを、切に願う。
この世に悪は無し。
ただ、在るのは1000の正義。
約2年前自分で、自分の為に作った革細工の財布。
糸が磨耗し、ほつれてきた。
それを肴に一杯やって、今想うことを、ここで綴る。
神話と言う神の話を、ニンゲンが語るべきじゃあ、ないね。
まぁ、俺は神を信じるほど信仰深くはないがね。