到着した。
見渡す限り草原が続くそのフィールド。
そりゃそうだ。
なんでも、牧場の一角をかりてイベントをやっている。
特に資本(有名な音楽会社など)が取り仕切っているわけではなく、ある一人のミュージシャンが発起人という。
とんでもない規模だ。
ぶっとんでる。
会場はすでに、出店やテントが立てられている。
とても日本の風景ではない。
さっそく、その会場の大通りっぽいところにテントを立てる。
タープの下にテントを立てるちょっと変わったスタイル。
テントが一人用の小さなものなのでこれが出来る。
日差しに強く、雨に強いという俺の中では今のところ最強のフォーメーションだ。5日間過ごす予定なので、こだわってみた。
テントを立てて、何をするわけでもなくぼんやりしていると、女の子を連れたドレッドヘヤーの男が話しかけてきた。
「俺は福岡のRYO」
「・・・こんちは。俺は大介」
握手して、ハグする。
50mほど離れたところ、実質お隣さんになるところにテントを立て仲間4人とすごしているそうだ。テントをたてているところを見かけたがかなり大規模装備。
「一人でこの装備。気になったけん、声かけた。カレーとか作ってるから遊びに来い。」
懐かしい博多弁で話しかけられた。
うん、早速友達で来た。当初悶々と悩んでいたのはなんだったんだろう。
陽が暮れたら遊びに行く約束。
彼は色々な人に声を掛けながら会場を歩いていった。
なんか面白い男やな。
ふと、この会場にはそぐわないおじさんが一人。
なんか、変なプロペラを背負っている。
風を捕らえたのか大きく走り出し。
おじさんは夕日に向かって飛び立っていったとさ。
さっき知り合ったRYOと、仲間のシュウさん、桜、レイナとギャーギャー騒ぎながら見送った。
今日はまだ、祭前。
到着初日の出来事がこれだ。
ぶっとんでる。
RYOのテントにお邪魔して、コーヒー入れてもらったり、RYOの歌を聴いたり。
すっかり馴染んだ。
陽が沈む。
あたりは闇に包まれる。
牧場の夜は暗い。高地とあってか冷える。
だが、広がる風景は、あちらこちらで焚き火をし、皆食事をしたり、暖をとったり。
どこか幻想的な風景。
音楽があちらこちらから聴こえる。
まだ、まつりは始まっていない。
静かな前夜祭。
現実と言う世界から離れた、夢の国。
虹の岬まつりでの生活は始まったばかり。